サッカー漫画『GIANT KILLING』人気の理由は? 主人公・達海の圧倒的な魅力を紐解く

『GIANT KILLING』は達海の圧倒的な魅力

 選手時代の達海は実際のサッカー選手に例えるならばまるで小野伸二のようだ。小野は達海と同じく攻撃的ミッドフィルダーを主戦場とする選手。高校時代は日本ユース選手権 準優勝、国民体育大会 優勝、アジアユース選手権 準優勝・MVP、18歳でフランスW杯出場、Jリーグ新人王・ベストイレブン選出、FIFAワールドユース準優勝とこれ以上ないほど(まさに漫画のような)成績を残す。

 しかし、シドニーオリンピック アジア予選、フィリピン戦にて悪質なタックルを受けて左膝靭帯断裂の大怪我を負う。復帰はするものの、それ以降は慢性的な怪我に悩まされて本来の実力をなかなか発揮できていない。彼は国内外の一流サッカー選手から多くの尊敬を集めているサッカー選手であり、普遍的な人気を得ている点も達海と重なる。

「目先の1点よりも大事なもんがある。それを示すのが先だ。その上でコッチが勝つ。勝たなきゃならねえ。ETUのためにもな。」
「適当に建てた家ってのはオオカミに吹き飛ばされちまうんだぜ。どうせ家建てんならじっくりいい家作んなきゃ。」

 これらは作中での達海の発言で、実に示唆に富んだものだ。サッカーに限ることなく、我々の実生活に多くのヒントを与えてくれる。そんな達海を読者たちは間違いなく愛しており、彼のキャラクターは間違いなく本書最大の魅力だと言えるだろう。

 新刊が発売されるたびに我々漫画好きを興奮させる『GIANT KILLING』。次巻が待ちきれない。

■嵯峨駿介
23歳でBass Shop Geek IN Boxを立ち上げ。楽器関連の他にグルメ、家電など幅広い分野でライターとして活躍中。Twitter:@SAxGA

■書籍情報
『GIANT KILLING』(モーニング KC)
著者:ツジトモ
原著:綱本将也
出版社:講談社
出版社サイト

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