尼神インター・誠子が語る、お笑いの力 「ネガティブをプラスに変えられるのもお笑いのいいところ」

尼神インター・誠子が語る、お笑いの力 「ネガティブをプラスに変えられるのもお笑いのいいところ」

 尼神インター・誠子による初のエッセイ本『B あなたのおかげで今の私があります』(KADOKAWA刊)が、9月28日に発売される。

 今作は幼い頃から“B”、いわゆる“ブス”と言われてきた誠子がお笑いによって、そして芸人になったことでコンプレックスを克服して自分自身を受け入れるまでの軌跡が物語風に描かれた1冊。学生時代の思い出、家族、お笑い、芸人仲間、相方・渚についてなど自らと向き合いながら約5カ月かけて書き上げた。

 容姿イジりにセンシティブな目が向けられやすくなっている今、女性芸人として、またプロのお笑い芸人として新たな笑いを追求する彼女に話を聞いた。(タカモトアキ)

まさにこのエッセイ本は誠子そのもの

――まず、書籍についてオファーを受けた際の率直な気持ちを教えてください。

誠子:KADOKAWAの編集者さんから「ポジティブなイメージのある誠子さんなら、いろんな人がポジティブになれる本が書けるのでは」とお声がけをいただいたのが、この本を出すきっかけでした。読書を大事にしていた両親の影響もあって元々、本を読むのが好きやったんです。特に好きなのは恩田陸さんと森見登美彦さん。劇場出番の合間には本屋さんに行くことが多いですし、本の“かたち”も大好きなので、本を書くこと自体、夢やったんです。そうしたら、自分が思っていたよりも早くこういうお話をいただけたので、是非!とすぐにお返事させていただきました。

——エッセイ本っていわゆる聞き書きも多いですが、敢えてご自身で執筆しようと思ったのは?

誠子:お話をいただいた時、聞き書きでもいいですよって言われてたんです。けど、とにかく書いてみたいという気持ちが強くて。それに、自分のことは自分の言葉で書かないと一番いいかたちで表現できないし、読んでくださる方にも伝わらないと思ったので、自分ですべて書かせてもらいました。いざ書いてみるとやっぱり難しくて、脳の使ったことがないところが熱くなっているのを感じましたし、作家さんを改めて尊敬しました。

——エッセイ本って“私”っていう一人称で書かれているものや読み手に呼びかけるようなものが多い印象ですけど、今回、一人称を“誠子”として物語的な書き方にした理由を教えてください。

誠子:1つは、小説が好きやから物語風に書いてみたかったということですね。今までに誰もやってないかたちで、書くことにアプローチしてみたいという気持ちもありました。あと、私は普段、他人に自分の話をあまりしないタイプで。書く前にどうやったら自分のことを詳しく書けるかなと考えた時に、誠子という一人称にしたほうが客観的に自分自身と向き合えるなと思ったんです。実際、書き出してみると仕事柄、ブスいじりされることが当たり前になっていたんやなと思ったというか。自分がなぜブスと言われることを受け入れられたのか、いつから自分のことをブスだと認識したのかをちゃんと考えたことがなかったなと気づいたので、自分自身を振り返る作業にはかなり時間を使いました。

——では、自分なりに過去を整理してみたり?

誠子:バラエティ番組で昔の写真を貸してくださって言われることが多いので、手元に写真はいっぱいあったんです。それを見ながら、まだかわいい……まだかわいいぞ? これ中3か。じゃあ、中1の頃から地味やったんやなぁとか周りの人とあんまり喋らんようになったなぁとか振り返って(笑)。あと、家族の話を書くにあたっては、妹に電話して確認しました。学生時代、私は妹とちゃんと喋ってなかったんです。電話して「あの時どんなかんじやった?」ってざっくばらんに聞いたら、妹は私のことをブスやと思ってなかったと。「誠子ちゃんが私らと喋るんが嫌そうやったから、売られた喧嘩を買うじゃないけど、私らも喋らんかった」って言われて、勝手に卑下してただけやったんやと目から鱗。自分自身に問題があったんやと思いましたし、書きながら自分自身の当時の気持ちを知ったりと書いていく中での気づきがたくさんありました。

——そんな中で執筆する際、特にこだわった点はどんなところですか?

誠子:自分が思ったことや経験したことを嘘偽りなく正直に書くことは一番意識しましたね。最初は家族、特に両親の話は書かんやろうなと思ってたんです。けど、それでは自分の顔や容姿を好きになった理由を説明するのは成立しないなと思って……。執筆のタイミングがちょうど外出自粛期間と重なったことで、より時間をかけて丁寧に掘り下げられたような気がします。だから、まさにこのエッセイ本は誠子!って感じ。友達や同期も知らない、誠子のすべてが詰まった1冊になりました。

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