BKB(バイク川崎バイク)が語る、短編小説に込めた理想の自分 「さりげなく優しくできる人になりたいのかも」

BKB(バイク川崎バイク)が語る、短編小説に込めた理想の自分 「さりげなく優しくできる人になりたいのかも」

 どんなものでも頭につく文字を“B・K・B”にしてインパクトのあるフレーズに置き換えてしまうピン芸人・バイク川崎バイクによる初の短編集『BKBショートショート小説集 電話をしてるふり』が8月12日に発売される。

 今作は新型コロナウィルス拡大防止による緊急事態宣言によってできた時間を有効活用して、1日1本書き上げたショートショート小説45作に、書き下ろしの5作を加えた全50作が収録された1冊。帯には、バイク川崎バイクの単独ライブを3年連続で鑑賞し、彼自身が「ばな姉」と慕う作家・吉本ばなながコメントを寄せている。

 恋愛やミステリー、夫婦、SFなどさまざまなジャンルの物語がおさめられているが、全体的に共通するある部分も。インタビューで指摘すると照れくさそうにしながらも、自身の心情を検証してくれた(タカモトアキ)

初の書籍化は(B)バリ(K)感慨(B)深い!BKB!

――自粛期間中に書いたショートショート小説が1冊の本になった率直な感想を、まず聞かせてください。

バイク川崎バイク(以下BKB):(B)バリ(K)感慨(B)深い!BKB! としか言いようがないですね。100〜200くらい短編小説を書いて、ゆくゆくは本にできたらいいなくらいの希望的観測はもちろんありました。まさか自粛中の50連休が本になるなんて思ってもみなかったですけど、いろんな出版社さんから声をかけていただいたということはそれなりのものが書けたのかなと嬉しく思います。

——ショートショート小説は、10年くらい前に初めて書かれたそうですね。

BKB:趣味で10作くらい、なんとなく書いた時期がありました。元々、星新一さんとか短編小説が好きで。脈略のない3つのお題を繋げたら不思議な話が仕上がるっていう短編の書き方を何かのサイトで見かけて、書いてみたら楽しくなったんです。けど、同期の守谷日和に見せたら「これ、何時間かかんの?」って聞かれて。「5時間くらいかな」って言うたら「やめたほうがいいんちゃう? 確実にネタ書いたほうがいいで」って言われてしまったんです。当時はテレビにも出られてない頃ですから、確かにそうやなと思ってパタリとやめました。で、昨年久しぶりに1作書いてみたら、良さげな話ができたんですよ。読書家のインディアンスの田渕に読ませたら「めちゃくちゃいいじゃないですか! これ続けたほうがいいですよ」って言ってくれたんで、いつか機会があったらやりたいなと思っていたところに外出自粛で時間ができたんです。

——執筆へ有効に時間を使えるチャンスが来たと。

BKB:それもありましたし、おもしろ動画を上げるより短編を書いたほうが自分に向いてるなと書き始めました。とにかく明るい安村さんみたいに毎日、おもしろ動画を上げてる芸人ってマジでかっけぇなと思うんですけど、僕にはできひん。ただ、時間が有り余ってると、何かせなあかんって焦るような気持ちはあったので、短編やったら頑張ったら毎日書けると思ったんです。あの期間、芸人のほとんどが何かしら書いてたんですよ。自分の思いの丈とかお笑い論とか……全部読み応えはありましたけど、BKBの熱い思いを書いてもBKBを好きな人にしか届かない。やったら、BKBに興味がない人にも幅広く知ってもらいたいという算段もあって、短編小説を選びました。

——実際、ご自身のファン以外の方々からも反応はありましたか?

BKB:ありましたね。書き物を生業にされている方からも、BKBさんがこんな話を? とか反応をいただいたりして。もちろんプロからすれば、文章の稚拙さとか気になるところはたくさんあったんでしょうけど、反応をいただけたということはそれなりに読んでもらえるものが書けたのかなと自信になりました。

予想できない展開を意識して書いた

——1日1作書き上げる時、一番大変なのは設定や題材だと思います。どんなところから想起されたんですか?

BKB:僕、単独ライブで1人コントをしていて、そのコント用のネタの種——例えば、すれ違いだとか無視されるだとか大食いだとか——がいっぱいあって。お笑いのネタにはしにくいけど短編小説にはできそうなものが多かったので、その中から使いました。それこそ「電話をしてるふり」もそうです。これってあるあるで、女友達が「今日、電話するふりして逃げてもうた。しつこかったから」とか話してるのを聞いてたんで、“電話するふりをして逃げる女”みたいなメモを残していて。今回見直して面白いなと思ったんで、設定に使いました。

——ネタ作りと小説の執筆、同じ書く作業でも違いはあるものですか。

BKB:お笑いのネタと違って、短編は笑えなくてもいいっていうのが一番違うところですよね。一方で、お笑いのネタと一緒で(読者を)引き込ませることは大事。活字ほどしんどかったら途中でやめてしまうものがないことを実体験として知ってるので、短く且つ共感できるようなタイトルだったり、オチがちょっと捻っていたりと興味を惹かれるものにしようと思って書いてました。

——自粛期間中は毎日8時19分、バイクの時間に1作ずつ公開し続けていたそうですが、書籍化に当たって加筆されたんですか?

BKB:めちゃくちゃしました。加筆修正ってよく本で見ますけど、これってあるあるなんでしょうね。ここも変えたい、ここも読みやすくしたい、ここの1文字を変えたい……探し出したらキリがないですね。自分の書いた話を何回読んだかわからないです(笑)。ただ、スッと入っていける文章にしたかったので、納得がいくまで読みやすさを重視して手を加えました。書き下ろしも頑張りましたよ。「思い出を食べるチャペルと思い出がないミナトの物語」がこの中でいちばん時間がかかって……長かった! いや、長いといっても8ページくらいのものなんですけど(笑)、短い話ばかり書いてたのでそう感じてしまいました。

——では、ご自身で気に入っている作品は?

BKB:個人的にミステリーが好きで、ラストに大どんでん返しがあるような話が読みたいなっていう気持ちがあるんです。だから、予想できない展開を意識して書いたものが多いんですけど……表題作の「電話をしてるふり」はもちろん気に入ってます。あと、「起承転結・結・結」はパターンとしていいものが書けたというか。自分が読んできたショートショートのお話にもなかった感じのものに仕上げられたので、めっちゃ気に入ってますね。ほかには「Cigarette smell love ?」はオシャレなものが書けたなぁと思いましたけど、なんだかんだで全部好きです。

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