『修羅の門』が格闘技ファンの心を掴んだ理由 古武術vs現代格闘技のロマン

『修羅の門』が格闘技ファンの心を掴んだ理由 古武術vs現代格闘技のロマン

『修羅の門 第弐門(1)』表紙

 ただし、ここまで述べてきたのは『修羅の門』の第一部でのお話。2010年からスタートした「第弐門」は中国の暗殺一族の登場で一気にファンタジー色が強くなっていき、繰り出される技も“神”や“超人”の領域ではないと不可能なものばかりである。もちろんこれはこれで楽しめる内容であるし、我々は幼少期に読んだ『「リングにかけろ』」においてリアルファイトから突然ファンタジーファイトへ突入していく免疫は十分についている。

 大晦日に民放TV3局で格闘技イベントが放映されるという異常事態となった2003年以来、急激に終焉を見せた格闘技ブーム。未知の技術の攻防にしてもやる側も観る側も展開がよめるようになってきた。そんな現状を打破するにはやはり本作も実在しない古武術ならではのファンタジックなスーパーファイトで魅せるしかなかったのかもしれない。

 現実世界の格闘技ブームよりも長く続いた本作だが、第弐門のラストで生涯のライバルである海堂晃との決戦の後、陸奥九十九はどこへ向かったのか? 伝説は美しいまま幕を閉じた方が良いような気がしつつも旅の行く末も気になる。続編が難しいならばその子供や弟子たちによる闘いを見せてほしいという期待もある。現在話題のよく出来たドラマ『ベスト・キッド』の続編『コブラ会』(YouTube Premium/NETFLIX)を観ながら、そんなことをつい想ってしまうのであった。

■恒遠聖文(つねとお・きよふみ)
73年生まれ。ライター。音楽雑誌を中心に幅広く執筆。

■書籍情報
『修羅の門』
川原正敏 著 
価格:電子版・462円(税込)
出版社:講談社
公式サイト

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