『ハイキュー!!』影の功労者・山口忠ーー元根性無しが証明する努力と度胸の成果

『ハイキュー!!』影の功労者・山口忠ーー元根性無しが証明する努力と度胸の成果

 バレーボールに青春をかける高校生たちを描く『ハイキュー!!』。今回ピックアップするのはピンチサーバーとして何度も試合の流れを変えてきた山口忠だ。

 ポジションはミドルブロッカー。月島にとっては小学生からの友達でずっと一緒にバレーをやってきた仲間だ。最初はどこか弱気で月島の影に隠れていた印象のある山口だが、春高では別人のように成長していた。そんな山口忠の覚醒と魅力に迫る。

「根性無し」が攻撃の烽火をあげるようになるまで

 1年生にとって初めての練習試合。影山と日向はペアで使いたい、そして月島はチーム1の長身ということでスタメンの出場となる。そんな中で山口は「1年俺だけハズれた……」と落ち込んでいる。

 その後も出番がなかった山口は、現状を変えるために自ら動き始めた。町内会チームとの試合の際に見たジャンプフローターサーブ。それを習うために、「教えてほしい」と町内会チームの嶋田に頼みに行ったのだ。

「これから先も1年で俺だけ試合に出られないのは嫌だから」

 自分には武器がない。ミドルブロッカーのポジションには日向と月島がいる。2人を押しのけることはできない。それならば、と考えた結果だろう。コツコツと努力を重ねるが、なかなかモノにはならない。それ以前に、自信を持ってサーブをすることすらできない。

 インターハイの青城戦で初めてピンチサーバーとして試合に出るがミス。春高予選、澤村がケガで途中交代をした試合にもピンチサーバーとして出場するが、1本目はギリギリのイン、怖気づいてしまった2本目はジャンプフローターサーブから普通のサーブに切り替えてしまう。唯一の武器を使うことから「逃げた」のだ。

 しかし、落ち込んだままではいなかった。鳥飼コーチのもとに自分から行き「もう一度チャンスをください」と申し出る。そして春高予選、青城戦でサーブを決め、ピンチサーバーとしての役割を果たす。

 山口は自分が根性無しだということを受け入れて、再びコートに立った。その姿は明らかに今までと違うものだった。14巻のタイトルは「根性無しの戦い」、16巻のタイトルは「元・根性無しの戦い」。14巻から16巻までを読むだけでも、山口の成長がありありと分かる。

山口と月島、互いにかけがえのない存在

 山口自身の成長と共に、山口と月島の関係性も変わっていったように見える。

 2人が出会ったきっかけは、山口が顔のそばかすをからかわれていたところに通りがかった月島がいじめっこを「カッコ悪」と切り捨てたところから始まる。身長も高く、どこか大人びていていじめっ子の言葉を受け流す。そんな月島が山口にはカッコよく映った。

 バレーを通じて仲も深まり、ずっと月島をそばで見続けていた山口。月島の兄が「烏野のエースだ」と嘘をついていることが発覚したときも見ていたし、烏野バレー部に入ってからの月島の変化にも気がついていた。しかし、山口は月島に自分の違和感を言葉にして伝えられずにいた。

 2人の関係が大きく変わったのは、夏合宿のこと。チームメイトたちが自主練に励む中、月島はどこか後ろ向きで、成長しようという気がないように見えた。諦めてしまっていたのだ。

「絶対に”1番”になんかなれない どこかで負ける それをわかってるのに皆どんな原動力で動いてんだよ!?」

 そう月島がこぼした言葉に、山口の答えはとてもシンプルなものだった。

「そんなモンッ プライド以外に何が要るんだ!!!」

 ずっと月島の後ろをついて回っていた山口が月島の胸ぐらを掴み、自分の言葉をぶつける。月島も「まさかこんな日が来るとは」とつぶやくが、2人が正面からぶつかるシーンは衝撃的だ。

 周りの努力が刺激となり、山口を成長させたのかもしれない。月島も山口の言葉がきっかけで、音駒の黒尾や梟谷の木兎の自主練に参加するようになり、成長の階段を登り始める。

 ずっと追いかける立場だった山口。それがいつしか月島に追いつく。音駒戦ではその描写が描かれている。山口がサーブで崩し、月島がブロックでシャットアウトする。サーブ&ブロックという理想的な攻撃の形のひとつを2人でやってみせた。同時に、山口と月島のこれまでの回想がコンパクトに差し込まれている。

 山口が助けられた「出会い」、月島が先を行き追いかける山口。やがて並び立ち、ぶつかり、そして「相棒」になった。

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