『ゴールデンカムイ』ぶっちぎりの変態・姉畑支遁は物語にどう影響を与える?
『ゴールデンカムイ』247話(『週刊ヤングジャンプ』2020年31号)ではアシリパが刺青人皮を前にし、暗号を解読すべく立ち向かう。彼女の中では答えが出ていたものの、それはあくまで推測にすぎない。残された刺青人皮は残り4枚、現時点で揃っている枚数を全て並べれば、真実に近づけるのだろうか?
しかしその中には江渡貝弥作(えどがいやさく)の作成した贋作も入り混じっていることを忘れてはならない。贋作を認識できるのは第七師団である鶴見中尉のみ。偽物の存在が土方、そして杉元一派の足止めとなってしまう可能性は高いだろう。
囚人の中でもぶっちぎりの“変態”姉畑支遁
刺青の入った囚人たちは皆個性的で、一筋縄ではいかない者ばかり。白石や牛山も個性的と言えるが、収容されていた人間の中では、比較的“マシ”な部類に入る。二人とも欲望に正直すぎる部分はあるが、マトモな一面も持ち合わせているからだ。
恐らく読者の中でもインパクトの強い囚人と言えば、やはり姉畑支遁(あねはたしとん)だろう。囚人は異常性癖を持つ者が目立つが、その中でもぶっちぎりの変態性を持ち、我々の度肝を抜いた。あまりの変態エピソードに、該当シーンはテレビ放映のアニメ版では見事にカットとなった。
彼は動物をこよなく愛するのだが、気持ちが溢れすぎたが故に動物相手に性的興奮を覚えてしまう。挙句の果てには彼らと交わり、その後は殺害するという常識を逸脱した行動を繰り返すのだ。登場時は樹木と交わっており、どうやら生き物以外も対象として見られるらしい……。登場人物の中でもナンバーワンの異常さだ。
鹿やキツネ、更にはニワトリやイトウまでをも追いかけ回す姿は色々な意味で感心してしまうものがある。彼の目標はヒグマと交わることであり、危険を顧みない精神には杉元らもドン引き。「ヒグマとなんてヤレるわけがない!」と叫ぶ杉元の顔には、そんな性癖を信じたくないという気持ちが込められているように見えた。
アシリパが姉畑の目的を知って“ウコチャヌプコロ”という単語を口にしていたのを覚えているだろうか? かつてチカパシがインカラマッと谷垣の情事を見て“オチウ”と言っていたため、その言葉を使わないのか?と疑問に思った人もいるだろう。
しかし“オチウ”は人間同士の交わりに使用する単語であるため、対象者が動物である場合はふさわしくない言葉となる。“ウコチャヌプコロ”も意味合いとすればそう変わりないのだが、こちらは造語。実際は直訳すると「お互いを知る・覚える」などの意味を表し、人間同士でなくとも使用できるそうだ。
あまりに語呂が良く、一度聞いたら頭から離れないためか、杉元も時折「ウコチャヌプコロ……」と呟いていた。特に深い理由もないが、どこかクセになる不思議な言葉だ。けれども意味が意味なので、決して私生活ではうっかり呟かぬよう、注意を払っておきたい。