『ハイキュー!!』音駒のキャプテン・黒尾鉄朗ができるまで 次なる一点を“決められる”男
幼なじみ孤爪研磨の存在
黒尾は、小学生のときに研磨の隣の家に引っ越してきた。研磨は当時の黒尾のことを「多分誰も信じない。本人も多分覚えてない」が、「人見知り」で「引っ込み思案」だったと評する。読者と研磨しか知らないが、黒尾は研磨相手にもあまりしゃべらず、「バレーがやりたい」の一言も言えない子だった。
研磨にバレーを教えたのは黒尾だが、黒尾がバレーを続けることができた理由のひとつは研磨だったのではないだろうか。研磨がいなければ、人見知りで引っ込み思案な黒尾は新しい町でバレーを辞めていたかもしれない。
そんな2人の信頼関係も特別なもので、小学生の段階で黒尾は「研磨は好きなことなら一生懸命やるから大丈夫」とその性格を見抜いていた。ずっと一緒に練習をしてきた研磨が高校でもチームメイトだったことは、きっと黒尾のバレー人生の中でとても大きな意味のあることのはずだ。そんな研磨もまた、春高敗退時、黒尾にかけた言葉がある。
「おれにバレーボール 教えてくれてありがとう」
研磨にバレーボールを教えた黒尾にとって、この言葉は何よりも大きなものだっただろう。また、研磨とずっとプレーをしていたことが、教え上手(ちょっとおせっかいなところもあるけれど)の黒尾の根っこにあるのではないだろうか。
バレーボールが黒尾の人格を成長させ、後輩を、人を育てる立場へと至らせた。その意味でも黒男は“ボールを繋いでいく人”と言えそうだ。
(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))
■書籍情報
『ハイキュー!!』(ジャンプ・コミックス)既刊43巻
著者:古舘春一
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/haikyu.html