『3月のライオン』川本あかりは“自分の人生”を見つけることができるのか? 妹たちが自立した後の未来を考察

『3月のライオン』川本あかりは何を望む?

    11巻で零が苦心の末にたどり着いた答えと同じように、筆者も妹が自立した後のあかりには何か支えになるようなものが必要不可欠だと考えている。林田・島田の二人が登場し、ますますその予想に確信を持つようになった。彼らが登場するまでは、最終話あたりで和菓子屋を継ぐ描写が入って「これであかりにも別のやりがいができて安心」という落としどころにするのではないかとも考えていたが、そこはやはり人気恋愛漫画を描いた作者らしく、恋愛の方向に舵を切ったわけだ。

 15巻時点のあかりには、まだこれといって明確な望みはない。パートナーの存在が必要だと感じているのは主人公である零であり、あかり自身の望みではない。あかりはまだ、物語中の男性陣をとりこにしながらも、妹たちの母親役を献身的に演じ続けている。そんなあかりが自らの望みを自覚し、一人のパートナーを選び母親像から脱却する。物語はそんなクライマックスに向けて動き始めているのではないだろうか。

■水城みかん(みずき みかん)
経理・フィットネス・Amazon系を中心に各種Webメディアにて執筆。趣味は漫画・アニメ。AlexaとVODに依存したひきこもり生活を満喫中。

■書籍情報
『3月のライオン(12)』
羽海野チカ 著
価格:535円(税込)
出版社:白泉社
公式サイト

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