女性警察官のリアルな日常とは? 『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』が描く、人間味溢れる警察官の実態

女性警察官のリアルな日常とは? 『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』が描く、人間味溢れる警察官の実態

 『ハコヅメ』というタイトルを聞いて、皆さんはどんな「箱」を想像するだろうか? 副題に“交番女子”と付か無ければ、あまりピンとこないのかもしれない。

 この場合の「箱」とは「交番」のことを指す。『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』(講談社)は新米女性警察官の奮闘を描く漫画だ。作者は女性警察官としての経験があり、内情も包み隠さず赤裸々に描かれている。様々なメディアでも注目を受け、今最も実写化に近い作品とも言えよう。

これまでになかった警察モノ・刑事モノ

 警察が題材となれば、どうしても堅苦しく思えてしまうのも無理はない。TVドラマや映画でも共通して警察モノ・刑事モノ=サスペンスというイメージがついてしまっている。しかし本作はリアルな内部事情を描きながら、非常にコミカルなストーリー展開で人々の心を惹きつけているのだ。

 新米巡査の川合麻依(かわいまい)は安定した公務員を目指したところ、他が受からなかったために渋々、警察官となった。序盤で辞職まで考えていたものの、ペアを組んだ上司・藤聖子(ふじせいこ)の存在により心変わりをしていく。

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~(12)』

 大抵この手の作品は主人公が熱血正義マン、そしてヤル気がありすぎて空回り……というのがお約束の流れだが、『ハコヅメ』に関しては全くその雰囲気が見られない。川合に関しては父に「お前は安定した公務員になるんだ」と言われたからだと志望動機をハッキリと藤に公言しており、そのリアルさがまた良いのだ。恐らく現実でも川合のような人間は多いのだろう。読んでいるとタブーに触れてしまったような、人間らしくて面白いような、不思議な感情になってくる。

 他にも多数のキャラクターが登場するのだが、「漫画らしいキャラ」ではなく、「身近にいそうな親近感」が素晴らしい。何かが起こればきっちり対処するものの、警察官だって仕事が面倒な時はある。無線が飛んできたシーンで「うちの署に(事件を)よこすな」とお互い思い合っている部分には、つい笑いがこぼれてしまった。警察と言えど、同じ人間であることに変わりはないと思った瞬間でもある。

 そして誰もが気になる仕事内容についてだが、捜査や張り込み、交通の取り締まり、遺体の処理まで詳しく描かれている。我々と同じく、新人の川合も張り込み=アンパンというイメージを持っていたそうだが、実際はシュークリームやから揚げなど、想像以上に好きなものを口にしているのだとか。

 どうしても一般の警察モノ作品を観ていると、重々しく張り詰めた空気が流れていると思いがちだろう。取り調べも「お前がやったんだろう!」と、暗い部屋で刑事が怒鳴るものだと考えてしまう人も少なくはない。

 しかし、本作を読んでいると、今までの警察官への印象がガラリと変わる。いや、きっと私達はそういったドラマや映画の影響で、彼らへの勝手なイメージを抱いていただけなのかもしれない。『ハコヅメ』はギャグ要素たっぷりで、いい意味でユルく警察の裏側を覗ける唯一無二の作品なのだ。

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