『ハイキュー!!』が少年マンガの王道である理由ーー日向翔陽の揺るぎない“主人公”としての魅力

『ハイキュー!!』日向“主人公”としての資質

「少しでも長くコートに立っていたい」

 『ハイキュー!!』にリアリティが感じられるのは、烏野が勝ち続けるわけではないところだ。初めてのインターハイでは地区予選を勝ち抜くことすらできなかったし、春高でも敗退。誰しもがいつかは敗者になる、それが現実なのだ。

 チームの負けだけではなく、日向自身が俯いてしまうことがある。春高出場決定後、“相棒”である影山は全日本ユース強化合宿へ、そして同じ1年の月島は宮城県1年生選抜強化合宿メンバーへと選ばれる(コミック24~25巻)。しかし、日向は選ばれなかった。

 それでも日向は「強い奴が試合以外でどんななのか どうして強いのか」知りたいと勝手に宮城県1年生選抜強化合宿場所へと乗りこんでしまう。しかし、練習に加えてもらえないどころか、「影山というセッターがいないお前に価値を感じない」とまで言われてしまう。

 自分が弱いからコートに立たせてもらえないという事実に、日向は一瞬だけれど俯く。この時から、日向の“コートに立つ”という気持ちがより強くなったように感じられた。

 日向の発した台詞に「負けたくないことに理由っている?」というものがある。どうしてそんなに頑張れるのか、というマネージャー谷地の問いに対しての答えだ。負けず嫌いの言葉のようにも聞こえるが、日向はバレーが好きだからこそ勝ちにこだわる。勝ち続ければ、コートに立ち続けることができるからだ。少しでも長くコートに立っていたい。少しでも長くプレーをしていたい。そんなひたむきさが日向をより強くしていくのだ。

文=ふくだりょうこ(@pukuryo

■書籍情報
『ハイキュー!!』(ジャンプ・コミックス)既刊43巻
著者:古舘春一
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/haikyu.html

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