『名探偵コナン』緋色の捜査官“赤井秀一”が抱える大きな秘密ーー心に秘めた情熱と圧倒的な実力を考察

『名探偵コナン』赤井秀一の魅力分析

不器用な優しさ

 赤井は愛嬌を振り向くことはないが、冷酷な人間ではない。その言動に見え隠れする優しさも、彼の大きな魅力だ。

 かつて赤井は、潜入捜査のため、組織の末端構成員だった宮野明美に接近して恋人となった。その際、もともと恋人関係にあった同僚のジョディ・スターリングに別れ話を切り出したのだ。"二人の女を同時に愛せるほど、器用な性分じゃない"と言って。捜査官としての任務を優先しながらも、恋人を傷つけまいとする、赤井なりの優しさだろう。

 その後、組織の一員であるジンによって、明美は殺されてしまう。この一件は彼に大きな影響を与えたようで、赤井はジンを敵視するように。そして今は沖矢の姿で、明美の妹である灰原哀(宮野志保)のことを気遣い、警護し続けている。最初のうちは灰原から怯えられてしまっていたのも、彼の不器用さの表れだろうか。

 実は家族思いな一面もある。母のメアリーと妹の世良真純は、赤井の死の偽装計画を知らないため、赤井家の長男は死んだと思われている。赤井を「秀兄」と呼んで慕っていた世良は傷ついただろう。しかし、赤井は沖矢の姿で、何度か世良とかかわりを持っている。ミステリートレインに乗車した際は、ベルモットに気絶させられた世良を保護。劇場版『異次元の狙撃手』では、銃弾を受けて入院した世良に、こっそり見舞いに来て花を置いていく……。普段はつれなくても、妹のピンチには駆けつける、優しい兄なのである。

■宮崎栞
編集・ライター・プランナー。編集プロダクションでエンタメ系の書籍・雑誌制作に多数携わり、現在フリーランスとして活動中。Twiter(@siorin7work)

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