『名探偵コナン』黒ずくめの組織の目的は? コナンたちの推理を振り返る

『名探偵コナン』黒ずくめの組織の目的は? コナンたちの推理を振り返る

 『名探偵コナン』の主人公・江戸川コナン(工藤新一)が追う”黒ずくめの組織”は、各国の諜報機関が追う国際的犯罪組織だ。メンバーは黒い装束に身を包み、活躍を認められると酒の名前のコードネームが与えられる。妙な薬を開発したり、優秀なプログラマーの情報を集めたり、暗殺したりと、様々な犯罪行為に手を染めているが、その最終的な目的はいまだ不明。

 しかし、コナンが目の前で起こった事件を解決するのと並行して、「あの方」の正体や、組織が開発する薬についての謎解きも徐々に進んでいる。あらためて、そんな現時点の状況を振り返ってみよう。

「あの方」って誰?

 長らく、黒ずくめの組織について推理で話題に上がるのは、ボスである「あの方」の正体であった。原作者の青山剛昌氏が、「あの方」は漫画内でフルネームで登場したことがある人物だと語ったことから、「阿笠博士説」「円谷光彦説」といったユニークな推理も唱えられてきた。

 そして連載24年目を迎えた2018年、ついにあの方の名前が「烏丸蓮耶」だと明かされた。世界屈指の財産を所有し政財界に強い影響力を持つ”日本で最も強大な人物”、そして半世紀前に99歳で謎の死を遂げた”この世にいないはずの大富豪”である。

『名探偵コナン』30巻

 「烏丸蓮耶」の名前が登場していたのは、コミックス30巻の「集められた名探偵! 工藤新一vs.怪盗キッド」というエピソード。黄昏の館を舞台に、当時まだ登場が貴重だった怪盗キッドや、同じく『まじっく快斗』の白馬探までもが出演した特別感あふれる回で、読者が登場キャラクターやトリックの派手さに目を取られている間に、「あの方」がしっかり影を落としていたというわけだ。

 ちなみに、「烏丸蓮耶」という名前を突き止めたのは、実はコナンではない。工藤優作と赤井秀一が話し合い、17年前に羽田浩司が残したダイイングメッセージを「CARASUMA」と読み解き、ボスの名前が「烏丸蓮耶」だと結論付け、コナンに伝えたのだ。

 これが、コナンをも唸らせるレベルの人物が2人集まってようやくたどり着いた真実だとすると、先に推理できていた読者はかなりの手練れと言えるかもしれない(もちろん、前述の青山剛昌氏のヒントのおかげで、読者側はだいぶ有利だったのだが)。

組織が研究してる薬って何?

 『名探偵コナン』の物語は「APTX(アポトキシン)4869」から始まった。工藤新一はジンにAPTX4869で殺されそうになるが、死なずに幼児化。その後、APTX4869を開発した組織の研究者・灰原哀も自ら開発した薬を服用し、同じ効果で幼児化した。

 物語序盤でこの事実だけが示された段階では、「灰原は組織の命令でAPTX4869という毒薬を開発させられており、新一や灰原はイレギュラーな作用で幼児化した……」という風に読み取るのが自然であった。しかし、灰原が毒薬を作っているつもりではなかったと話したり、ベルモットがAPTX4869の幼児化作用を仲間に隠そうとする様子から、だんだんと、幼児化こそAPTX4869の真の効果だったのではないか?という推理する読者も増えてきた。

『名探偵コナン エピソード”ONE”小さくなった名探偵(小学館ジュニア文庫)』

 2016年に放送されたTVスペシャル「エピソードONE」のノベライズでは、APTX4869の実験中に幼児化したマウスを見たシェリー(灰原)の心の声が“とうとう、やったわ……!”と書かれている。APTX4869を開発した灰原自身は、幼児化作用を失敗とは捉えていなかったことが明白になった。(とはいえ、幼児化が開発のゴールだとも明言していない。)では、組織がわざわざ研究施設を建設して追い求めているのは、「幼児化する薬」なのだろうか? 残念ながらそうとも言い切れない。

 89巻では、17年前の事件でもAPTX4869が使用されていた事実が明らかに。かつて灰原の両親がAPTX4869を作っていたが、研究所が火事になり資料とともに焼死し、焼け残った資料からAPTX4869を復活させたと灰原は語る。つまりAPTX4869は、灰原の両親が作っていたものと、灰原が復活させたものの2種類が存在するし、後者が「新たに開発された毒薬」として新一や灰原自身に使われた。

 この話をさらに厄介にするのは、灰原のモノローグでこう続けることだ。

“まあ、私が本当に作らされていたのは… 別の薬なんだけどね…”

 灰原は、両親の研究したAPTX4869を引き継ぐと同時に、組織の命令で「別の薬」を作っていた。こうなってくると、すべてが謎に包まれたこちらの薬こそが、組織の目的なのかもしれないし、そうでないのかもしれない……。読者の推理はまた新たに始まることとなった。

 ミステリアスな灰原は、心を許しているようなコナンにも、組織や薬のことをあまり積極的に話さない。彼女からこのモノローグを引き出すまで、実に20年以上かかったのだと思うと、『名探偵コナン』のストーリーとキャラの奥深さには感嘆する。

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