『Dr.STONE』はコロナ禍の今こそ読みたい“科学漫画”だ 千空のトライ&エラーに学ぶ、地道な科学的目線

コロナ禍の今こそ『Dr.STONE』を読もう

 稲垣理一郎(原作)とBoichi(作画)が、『週刊少年ジャンプ』で連載している『Dr.STONE』(集英社)は、天才科学少年の石神千空を主人公にした理系マインドに溢れる少年漫画だ。

 物語の舞台は、全人類が突然、石化したことで現代文明が崩壊した3700年後の日本。石化が解けて目覚めた千空は、石化が解けたメカニズムを解明し幼馴染の大木大樹を筆頭とする仲間たちの石化を解いていく。やがて千空は科学の力で文明を復興し、人類を石化させた巨大な謎の解明に挑むことになる。

以下、ネタバレあり。

 最新巻となる第15巻では、メデューサ(石化装置)をめぐる激しい戦いが繰り広げられる。科学船ペルセウスを建造した千空たちは、人類の石化を解く薬品を無尽蔵に製造できるプラチナを求めて、宇宙飛行士だった千空の父・白夜が乗っていた宇宙船「ソユーズ」(宇宙船の中にプラチナが保管されている)の不時着した島へと上陸する。

 しかし、その島は頭首を頂点とする王族が支配しており、千空の仲間たちは頭首の配下・キリサメが持つメデューサによって石にされてしまう。千空は(頭首を石化して)島を支配する宰相イバラを倒すためにドローンを作り、メデューサを奪おうとする。

 千空率いる科学王国と、武力で世界を支配しようとしていた獅子王司率いる司帝国の決着がついた『Dr.STONE』は、その後、文明のレベルが一気に上がり、気球を作ったり、石油を発掘したりといったイベントが次々と展開されるようになった。科学知識に裏付けされた発明で、次々と文明の利器を甦えらせて、科学的発想で困難を乗り込えていく姿が、本作最大の魅力だ。しかし、巻数が進み、発明のレベルが高くなっていくと、発明に至るフローチャートも複雑化している。

 たとえば序盤で描かれた、石化を解く薬・ナイタール(工業用の腐食液)を作るための発明の流れ、必要な材料が「コウモリの糞から生まれた奇跡の水・硝酸」とブドウから作ったワイン(エタノール)だと発見し、エタノールを蒸留するために土器を作り、時間をかけて成分の割合を調合していく姿は、とてもわかりやすく実に楽しいものだった。そこには「小学生の読者でも頑張れば、作れてしまうかもしれない」と思えるような、素朴な手触りがあったのだが、その手触りが遠ざかっているのが寂しく、話がどんどん難しくなってきていると感じていた。

 まとめて読み返すと10~12巻の展開は、建国シミュレーションゲームのようで、文明が発展していくスピード感も、全貌がわかれば「面白かった」と言える。しかし「千空の知力」VS「司の武力」のような、わかりやすい対立軸がなくなってしまったこともあり、果たして、この話はどこに向かうのかと読んでいて不安だった。登場人物が一気に増えて群像劇として複雑化しているのも悩ましい所だ。

 これは『ONE PIECE』以降のジャンプ漫画の大きな特徴で、最近の『呪術廻戦』もそうなのだが、話数が進むと個性の強いキャラクターが揃いすぎて全員主人公みたいな状態となってしまう。海外ドラマではおなじみの見せ方で、最初から読んでいる読者にとっては、どこを見ても面白い確変状態だが、情報量が多すぎて、新規読者にとっては誰が誰だかわからない状態になってしまう。



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