孤独死は独身30代にとって他人ごとではない カレー沢薫『ひとりでしにたい』が突きつける“終活”のリアル
そうは言っても、まだ終活なんて早いと思う人もいるだろう。しかし、個人的にはできるだけ早めに考えておいた方がよいと思う。なぜなら、終活の内容というのはダリいのである。今でもクソダルなことが、後期高齢者になってやる気になるはずがない。
嫌なことほど後回しにする。これは個人的な感想だが、物事を後回しにする人間の方が孤独死する確率が高いような気がする。人間関係や部屋を綺麗に保てる人は死に方も綺麗なイメージがある。全く迷惑をかけない死はないのだが、できるだけ家族や周囲の人たちへの負担は最小限にしたい。〈よりよく死ぬにはよりよく生きろ。〉私のような怠惰な人間には必読の書だろう。
三年前に長らく闘病中だった祖父が亡くなった。自堕落で怠惰な私とは正反対のきっちりした性格で、遺される祖母と叔母にエンディングノートを残し、手続き関係や遺産の振り分け、事前の公正証書作成など「立つ鳥跡を濁さず」を体現したような人だった。今回本書を読んで、改めて終活は他人ごとではないとようやく認識した。祖父に背中を押された感触が残っているうちに早めに着手しようと、心に誓ったのだった。
■ふじこ
10年近く営業事務として働いた会社をつい最近退職。仕事を探しながらライター業を細々と始める。小説、ノンフィクション、サブカル本を中心に月に十数冊の本を読む。お笑いと映画も好き。Twitter:@245pro
■書籍情報
『ひとりでしにたい(1)』モーニング KC
著者名:カレー沢薫
協力:ドネリー美咲
発売日:2020年3月23日
定価:本体640円(税別)
https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000339062