猫を失った悲しみは猫でしか埋まらないーー『心にいつも猫をかかえて』は愛猫家の心に寄り添う

作家が紡ぐ愛猫家の心に寄り添う猫エッセイ

 SNSが盛んな近ごろは、他のお家で暮らす猫に感情移入している方も多いはず。実際、筆者もライターとして様々な愛猫エピソードを伺う中で、現実社会では決して出会えなかった小さな命を何度も愛しく思った。

 村山さんも日頃からTwitterでの交流を通し、愛猫以外の動物も愛でているよう。消えていった魂やその魂を愛していた誰かの心も愛おしんでいる。

あの子猫たちも老いた猫たちも、この老犬も、あのうさぎさんも小鳥さんも、生まれつき弱かったり、闘病していたあの子たちも、路上で病んだり傷付いて拾われた子たちも、最期まで、みんな頑張ったね、幸せだったね、とそっと泣いたりもします。

 SNSに流れてくる情報は、ハッピーなものばかりではない。関わりのあった子の誤報も飛び込んでくるし、残酷な事件を目にすることもある。そんな日は辛い気持ちになってしまうけれど、ひとつの小さな命が懸命に生きていたことを知るのは、意味があること。虹の橋に旅立っていった命を通して私たちは愛猫との向き合い方を振り返りたくなったり、悲しい命を増やさないためにできることは何かと考えたくなったりする。

覚えていてくれるかぎり、時折思い出してくださるかぎり、あの子たちの存在は消えないような気がするのです。たとえ、不幸にして短く儚く終わった命があったとしても、きっと。

 こんな気持ちを持てる人が多くなったら、安らかに旅立てる子も増えていくように思う。

 存在を思い出すことは、愛情表現のひとつ。たとえ、この世に肉体がなくても私たちは大切なあの子を思い出すことで、愛でることができる。そう思わせてくれる本作は猫への愛が凝縮された一冊。猫にまつわる、ちょっぴり不思議なショートストーリーも収録されているので読み物としても楽しめるだろう。

 亡くした猫。今、ここにいてくれる猫。あの日、救えなかった猫。そして、飼い猫以外の愛おしい猫たち。これまで出会ってきたすべての猫たちを心にいつまでも抱え続けながら、これからも「ねこライター」を名乗っていきたい。

■古川諭香
1990年生まれ。岐阜県出身。主にwebメディアで活動するフリーライター。「ダ・ヴィンチニュース」で書評を執筆。猫に関する記事を多く執筆しており、『バズにゃん』(KADOKAWA)を共著。

■書籍情報
『心にいつも猫をかかえて』
著者:村山早紀
絵:マルモトイヅミ
出版社:エクスナレッジ
価格:本体1,600円+税
発売日:2020年4月13日(予定)
出版社サイト

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