朝倉未来の強さの核は”客観視能力の高さ”にあり? 著書『強者の流儀』で分かるデータ分析能力の高さと実行力

朝倉未来『強者の流儀』レビュー

目標は”自由”を手に入れること

 また、朝倉未来はブレない強さをもっている。最近の朝倉未来の活動を見て、YouTubeに力を入れすぎて格闘技がおろそかになっているとか、UFCでは通用しないと言っている人も多いが、そもそも彼は格闘技で世界一強くなることが目標だったり夢であったりするわけではない。そこも本書で言及されているが、あくまでも彼の夢は”自由”を手に入れることであり、格闘技もYouTubeもその”自由”を手に入れるための手段のひとつであるにすぎないのである。明確でブレない目的があるので、それを手に入れるための手段を全力に手に入れようとして、そのために最善である準備と努力を続けている。自分の夢、目標に対してのピリオダイゼーションモデルが確立されているのである。

 朝倉未来は本書の冒頭で、自分の意志で決断して切り拓いていきたい人や、弱い自分を克服したいと思っている人なら、この本の内容はヒントになるものだと言い切っているが、そのヒントをより確実に自分のものとして掴みたいと思っているなら、朝倉未来という人物に対しての印象を一旦リセットして、朝倉未来を、そして自分を客観視しながら読み進めてみるのがいいのではないかと思う。そのときに初めて朝倉未来の頭の中に、そして自分自身の心の奥底に触れることができるのではないだろうか?

■関口裕一(せきぐち ゆういち)
スポーツライター。スポーツ・ライフスタイル・ウェブマガジン『MELOS(メロス)』などを中心に、漫画、特撮、芸能、ゲーム、モノ関係の媒体で執筆。他に2.5次元舞台のビジュアル撮影のディレクションも担当。

■書籍情報
『強者の流儀』
朝倉未来 著
価格:1,300円+税
出版社:KADOKAWA
公式サイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「エッセイ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる