恩田陸デビュー前の創作ノート全24ページ初公開 『小説 野性時代』で総力特集
月刊文芸小説誌『小説 野性時代』2020年3月号(No.196)が、KADOKAWAより2020年2月13日に発売された。
同誌で直木賞作家・恩田陸がこれまでどこにも出していなかった秘蔵の創作ノートが公開された。デビュー前から続けていたノートには、手描きのイラストがふんだんに描きこまれ、知られざる絵やデザインのセンスも味わうことができる。
恩田本人も「久しぶりに高校~大学にかけてのノートを発掘して『うひゃー、恥ずかしい。どひゃー、まったく進歩してない』とショックだった。しかし、紛れもなく今私が小説家として書いているもののルーツがあって興味深いのも事実」とコメントしているが、まさに今となっては、作家・恩田陸のメイキングともいうべき貴重な資料となっており、『蜜蜂と遠雷』や『夜のピクニック』など、数々の傑作の原石がはっきり窺える。
高校一年の頃に作っていたという個人誌「すいかずら」のページの一部や、イラストと文字が一体となった読書記録。『六番目の小夜子』でのデビューが決まり、「もしも自分が表紙絵を描くなら……」とこっそり勝手に描いたという幻のセルフカバー画。風に長髪をなびかせたセーラー服姿の少女のイメージは、実際の書影とも重なりますが、デビュー作の担当編集者すらその存在を知らず、今回の初公開にあたって、初めて目にしたという。
そのほか、実際の連載開始より15年以上前から『ロミオとロミオは永遠に』の具体的構想があったことを裏付けるポスター。そこにはすでにタイトルだけではなく、登場人物のイメージや帯の惹句までそろっている。
「創作ノート」は単行本『ドミノin 上海』の発売を記念した『小説 野性時代』3月号恩田陸特集に収録。本特集内では劇団ヨーロッパ企画の脚本・演出を手掛ける上田誠との対談を実施。群像劇、続編、コメディ、パズル……共通のキーワードが次々と飛び出し、興奮に満ちた熱き創作論を展開している。さらには学生時代から現在に至るまで、恩田が手放せないもの、創作の源泉となってきたモノ・ヒト・コトを自身の言葉で解説する「恩田陸を創ったもの20」。さまざまな角度から作家・恩田陸の奔放な想像力を見渡し、30年近く第一線を走り続けてきたその横顔に迫る特集となっている。
『小説 野性時代』第196号(2020年3月号)
出版社:株式会社KADOKAWA
発売予定:2020年2月13日
定価:本体800円+税
https://www.kadokawa.co.jp/product/321901000097/