連載「lit!」第147回:原口沙輔、サツキ、柊マグネタイト、吉田夜世……シーンの最前線に立つボカロP新曲4選
柊マグネタイト「カラフル」
昨年末に公開された「テトリス」が公開5カ月で6000万回再生を突破した柊マグネタイト。破竹の勢いと呼ぶに相応しい活躍を見せる彼の最新作が、「Synthesizer V AI」として昨年秋に登場したばかりの宮舞モカを起用した「カラフル」となる。
出版社・アルファポリスによる青春小説×ボカロPカップ大賞受賞作『#消えたい僕は君に150字の愛をあげる』をモチーフとする本楽曲は、彼の近作と比較してもやや珍しい、疾走感あるバンドサウンドを前面に押し出した音作りが印象的なナンバー。今夏自身初のフルアルバムリリースとワンマンライブ開催も決定している、柊マグネタイトの確かな音楽的センスを刻むまさに“正統派”な楽曲だ。
吉田夜世「Shapeless」
インターネットクリエイターとして幅広い活動を続け、現在X(旧Twitter)では10万人超のフォロワーを擁するシンガー・藍月なくる。従来から各所で高い評価を受けていた彼女の透明感ある声を元にした音声合成ソフト「Synthesizer V 2 AI 無來」が、この4月にリリースされた。
公式デモ楽曲「Shapeless」を手掛けたのは、ボカロP・吉田夜世。本楽曲は冒頭から人間の肉声とも遜色ない、ブレス交じりのリアルな歌唱が存分に堪能できる点も大きなポイントだ。藍月本人の歌声の魅力の最大値を引き出したような、凛と透き通る無來の声を引き立たせる浮遊感。加えて、それらとは対照的な攻撃性を垣間見せるドロップとのサウンドコントラストも聴き所の1つだろう。

























