2026年のSARUKANIは景気よく、そして縁起よく! みきまりあを迎えたEP『EPISODE 777』から広げていく“音楽”の交流

KAJI、Kohey、RUSYからなるビートボックスクルー・SARUKANIが新たなEP『EPISODE 777』を2月4日に配信リリースした。本作は、昨年6月より新体制での活動をスタートさせた彼らが、音楽シーンに対してあらためて自己紹介する気持ちで制作したという一作だ。身体そのものを楽器として鳴らすビートボックスの技を磨き、数々のバトルや大会を制してきた3人が、ここからは自身の考えや届けたいメッセージにも重きを置きながら、時には他アーティストともコラボレーションし、音楽制作やライブに励んでいくという。
今回リアルサウンドでは、SARUKANIにインタビュー。新体制の幕開けに相応しい景気のよさをまとった「777」、『arigato.』と名付けられた新たなフィーチャリングシリーズ第一弾楽曲、SARUKANI arigato. みきまりあ「キャパオーバー」、先行シングル「ZUN CHA」「CROWN」を収めた本EPについてはもちろん、2月20日に控えるワンマンライブ、さらにはその後の活動にむけてもパワー全開な3人の声をお届けする。(編集部)【インタビュー最後には、みきまりあからのコメントを掲載】
僕らはまだまだ自己紹介が必要 新体制スタートを宣言するEP『EPISODE 777』

――昨年の夏、新体制のスタートを宣言する「ZUN CHA」をリリースされました。あの曲から約半年を経て届けられる『EPISODE 777』は、SARUKANIにとってどんな位置づけの作品になりましたか?
KAJI:2月20日のZepp DiverCity(TOKYO)ワンマンに向けて、アンセム的な曲を詰め込んだ作品ですね。あと、今回は「ZUN CHA」からの新体制の自己紹介を改めてしておこうという気持ちで作りました。あの曲で「3人でもずっとこの感じやし」というのを伝えて、そこからどんどん幅が広がっていった感覚があります。なので「ZUN CHA」を出したことでいただいた声を元に、作れる曲が増えたなという感じでしたね。
Kohey:〈確変狙うJACKPOT〉とか、3人が今、SARUKANIの活動で考えていることやムードを歌詞に詰めこんだ作品です。今までのSARUKANIって、良くも悪くも楽曲のバリエーションが白か黒か、というような印象がありました。でも、今は色がどんどん鮮やかになってきてる気がするんですよね。
KAJI:表情が増えたというか。今まではすごく身の丈を意識しすぎてしまっていたところがあったな、と。
Kohey:今は「これはやってはいけない」とか「やらない方がいい」っていうのがよぎりにくくなった。だから、本当の意味で楽しく音楽をさせてもらっているし、いろいろ他にももっと試したいこともあるので本当にこれからが楽しみです。
――「777」という数字がEPタイトルにも先行シングルにも使われていますが、スロットの大当たりを連想させるこのモチーフを選んだ理由を教えてください。
KAJI:まず「景気よく」っていうコンセプトがあって。「ZUN CHA」と「CROWN」と「キャパオーバー」ができたタイミングで、「もう1つ、華がある曲が欲しいよね」っていう話がメンバーやスタッフの間であったんですよ。僕はその「景気よく」っていうワードがぶっ刺さったというか、やっぱり「アゲアゲな曲じゃないとあかんよな」って思ったんです。あとは個人的なことなんですけど、昨年の下半期にエンジェルナンバー集めをしてたんですよ。例えばSuicaのチャージ額が"555"になったぞとか。そういう写真を撮ったりして(笑)。
それも込みで、「じゃあ、めっちゃ縁起ええし、ちょうどいいかも」と。4人から3人の新体制になる、新しい可能性を見出すという意味でも「"777"ってすごく縁起いいんじゃないか」って思ったんです。ツアータイトルをみんなで案出ししてる時にひらめいて、「じゃあ、これでいこう」って決まった感じですね。
――歌詞を見ると〈苦労してやってきた〉というフレーズから始まり、〈Come on, RUSY〉〈Hey, Kohey〉〈It's me, KAJI〉とメンバーの名前を呼び合うパートもあります。3人体制初のEPで、結束感のようなものを感じましたが、そこも意識されていたのでしょうか?
RUSY:さっきKAJIさんが言ったように、僕ら自身まだ自己紹介がいるなって思ったんですよ。まだまだ知られていないし、むしろ自分たちからしなきゃって。今までのSARUKANIとして僕らはやるけど、皆さんに見ていただくSARUKANIは完全に真新しいものだし。初心に帰って一からまた頑張るぞっていう気持ちも込めたくて。
KAJI:やっぱりキャラクターが伝わらないことには、どういうエネルギーで僕たちの曲を聴いてもらったらいいのかが分かりづらいと思うんですよ。なので、まず「SARUKANIってこんなやつらだよ」っていうのを、一番わかりやすく表してるのは何だろうと考えて、それぞれの名前を歌詞に入れました。



――自己紹介が必要だと実感した理由を教えてください。
Kohey:僕たちって本当にビートボックスで突っ走ってきた3人なんです。ビートボックスはスポーツ的な側面もあって、人間性よりも技術がどれだけすごいかっていうところが重視されていると思っています。それよりもアーティストって人間性というか、人生を歌ったりすることが求められる存在だと思うんです。そういう意味では、アーティストとして音楽をやるのが初めてなんですよね。その気持ちを込めて改めて自己紹介させてほしいなって思ったんです。
KAJI:「ビートボックスが武器」っていう誰よりも誇れるところと、逆にそれが誰もが持っているわけではない武器だからこその負い目がある瞬間もあって。僕は負い目の方を感じることが多かったです。
RUSY:ビートボクサーとしてビートボックスの世界で頂点を獲った後、その先に見据える世界が音楽の世界になった時に、苦労してようやく見れた景色だったけど、音楽の世界にいざ踏み出してみたら、自分たちの現実とか、これから頑張らないといけないことがいろいろ見えてきたんです。そこを踏まえて「もう大人になったんだよ。もうならなきゃいけないんだよ」というスタンスでKAJIさんと一緒にこの曲の歌詞を考えました。
なので、ビートボックスで世界一になったという実績を武器にしつつも、そこをフラットに見た上で音楽の世界に挑戦する。そういう目線で「音楽業界に襲来してきたぜ、俺たち」という歌詞を書きました。「音楽の世界でも一発当ててやるけど、準備できてんの?」という思いも込めています。
KAJI:それとこの曲ではむちゃくちゃ日本語を使ってます。そうすることでユーモアの出しがいがあったというか。あとは僕らの地元の関西弁も使っています。それぐらい自分たちの出自を出していかないと曲を聴いてもらえないんじゃないかなっていう気持ちもありました。英語でかっこよく演出するとか、日本語でわかりやすい言葉だけ使って歌詞を書くとかじゃなくて、「自分たちの内から出たものを感じてくれ」っていう思いも込めていますね。
みきまりあとの念願コラボ テクノ~ブルピン経由し生まれた現代社会に向けた応援歌

――このEPから『arigato.Series』というフィーチャリングプロジェクトがスタートしました。外部アーティストを迎えるこの企画を立ち上げた経緯と、第一弾にNOMELON NOLEMONのみきまりあさんを選んだ理由を教えてください。
Kohey:僕たちは今まで自分たちだけで曲を制作してきたのですが、ビートボクサーというインスト文化の出身だからこそ、もっと色んなアーティストさんと一緒に曲を制作して刺激を受けたかったし、その作品を通して僕たちとビートボックスという楽器を沢山の人に知ってもらいたいなと思って、立ち上げました。「arigato」は一緒に曲を作ってくれたアーティストへの感謝と、これからも世界に向けて作品を発信していく意気込みで、世界的に知られている日本語から選びました。
RUSY:第一弾のアーティストをチームでどうするか話し合っていた時に、みきまりあさんとは以前からプライベートでもすごく仲良くさせていただいていて、僕から提案させてもらいました。「一緒に曲を作ってみたいよね」みたいな感じで元々話していたこともあり、オファーをかけたら快く引き受けてくださっただけでなく、「ずっと一緒にやりたかったんだよね」って言ってくださって。
しかもNOMELON NOLEMONのツミキさんも、以前からSARUKANIの活動を追いかけてくれていたみたいで。そういうこともあってツミキさんも今回のコラボの件でみきまりあさんの背中を押してくださったみたいなんです。
KAJI:ただ、叶わないかもと思ったりもしてて。だから、本当に実現するってなって「やばいな!」って驚きました(笑)。これが成功体験になったので、この企画を通して積極的に他のアーティストの方にアプローチをかけたいなって思うようになりましたね。それに、今回コラボできたことで、SARUKANIがアーティストとして、またひとつ別のフェーズに行けるなって思いました。
Kohey:完全に僕らにとって新しい色というか、新しい要素を迎え入れることになった感覚です。『arigato.Series』を開始した理由もそうで、SARUKANIがヒューマンビートボックス一本からポップミュージックの世界に行く上で、やっぱり新しいことをたくさんしたいなと思っていたんです。
そのひとつとして、これから参入していく音楽シーンで、すでに活躍されている方と一緒に曲を作る。でも、僕らは全員まだその世界では本当に赤ちゃんというか、レベル1からやらせてもらってますって感じなので、コラボしていただけるだけでも本当に嬉しいし、大光栄なんですよね。だから、この曲は本当に気合いが入りました。
――みきまりあさんのどんなところに魅力を感じていますか?
KAJI:ボーカルとして、すごく芯がある方だなと思います。本当にブレないというか。「こんな表現もあんな表現もできる」っていう強みもありますが、それ以上に自分の声への自信を感じました。
RUSY:本当にフレンドリーで気さくな人です。今回のコラボが決まった時もすごく楽しんでくれて。ビートボクサーが音楽をやっているという特殊なグループですが、そこに対してもすごく興味津々だったし、前向きに取り組んでくれました。
Kohey:あと汲み取る力がすごい。レコーディングで「ギャルっぽく喋ってみて」とか、「ここは銭湯に浸かってるみたいな気持ちよさを表現するように歌ってみて」とか、結構無茶なお願いをしてしまったんですけど、もう全部100点満点で返してくる。そういうのを間近で見ていて、表現力がすごいなと思いましたね。
――制作面でどんなこだわりや工夫がありましたか?
KAJI:元々は僕がすごく好きだったChris Liebingというアーティストの「Dark Matter (Flash Golden remix)」というテクノの曲をリファレンスで挙げて、「こんなのやってみたら?」って言ったんですよ。その時ちょうどKoheyがテクノしか聴かないって時期があって。それで聴かせてみたらすごく気に入ってくれたので、それにインスパイアされたデモを作ってもらいました。
Kohey:その次に別のリファレンスにしたのがBLACKPINKの「JUMP」でした。そんな感じで元々のアイデアをいろいろ時間をかけてアレンジしてるうちに、みきまりあさんが歌ってくれるかもしれないことになり、そこから結局3回ぐらい変化を遂げて、結果的にしっくりくるダンスポップソングになりました。
でもSARUKANIが曲を作る上で意識してるのは、なんと言ってもビートボックスの音ですね。ちゃんとポップスの中でビートボックスの主張もすることは意識しています。あと僕らはライブが好きなので、この曲に限らずですが、ライブで楽しく、気持ちよく演奏できることを意識して作ってます。



――〈残業パラダイス〉〈営業スマイル〉〈ヘルプミー諸葛孔明〉など、働く人のリアルが詰まった歌詞が印象的です。「ZUN CHA」が"頭を空っぽにして踊ろう"というメッセージだったのに対し、今回は社会で奮闘する若者に寄り添う内容になっています。このテーマに至った背景を聞かせてください。
KAJI:「ZUN CHA」に対して「楽しいけど、結局何が言いたいの?」という意見があったことが大きいですね。確かに僕らのこれまでの曲は「自分たちが最強で楽しい」という曲が多くて。
RUSY:もっと歌詞に共感してもらえるように自分たちを自己分析しました。ポップとか、キャッチーでノレる、そういう曲調でいこうってトラックがまとまったので、さらに令和の現代的な歌詞でリスナーに寄り添うことができたら、楽しいけど共感できる、SARUKANIらしいダンスポップが生まれるんじゃないかと考えました。
僕がこの歌詞を思いついた経緯は、新社会人になる友達の相談に乗っているときに「すごくみんな苦しんでるな。でも、その中で色々考えているんだな」と感じたことがきっかけなんです。なので、その気持ちを僕らが代弁するイメージで歌詞を作りました。
――働く同世代の代弁者的な歌詞を作る上で特にどんなことを意識しましたか?
RUSY:我々令和の現代人に適した表現を目指しました。言葉数を少なくして、かつ一発で理解できるキャッチーなワード、例えば、一発で伝わる擬音や〈シゴデキ〉とか今っぽい言葉を使ったり。あとは〈承知です。わかりました。ガッテン〉とか、ちょっとアニメっぽいコミカルなワードも意識的に歌詞に入れています。
それと歌詞の構成を「建前→本音→建前→本音」みたいな流れにすることにこだわりました。例えば1Aは「もう仕事をやっていけないな」と内心思っているところ、Bメロは独り言として本音を吐露しているようなイメージですね。そこからのサビは仕事場に行って、建前と本音を繰り返す自分というイメージで、後半はそんな自分を頑張れと励ますという構成になってます。


















