Fujii Kaze、向井秀徳と椎名林檎、稲葉浩志、HYDE、ちゃんみな、aespa……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はFujii Kaze「My Place」、向井秀徳と椎名林檎「SI・GE・KI」、稲葉浩志「タッチ」、HYDE「SMILING」、ちゃんみな「Let you go feat. HIROTO (INI)」、aespa「ATTITUDE」の6作品をピックアップした。(編集部)

Fujii Kaze「My Place」

My Place

 『2026 ワールドベースボールクラシック』史上初となるサウンドトラック『2026 World Baseball Classic』収録曲のひとつ。これまで大会の公式テーマソングはあったが、多言語の楽曲を揃えたサウンドトラックというのは初の試み。スペイン語や韓国語が飛び交う作品の中で、Fujii Kazeは英語と日本語によるダンスミュージックを提供。前半はどこか霊的、あるいは聖的なコーラスワーク。中盤からビートは強化され、囁くようなフロウを経由したのち、サビでは野球の(いや、輝けるすべての人たちの)魂を讃える歌唱へと到達する。もちろん相当クオリティの高い一曲だが、3曲で表現するこのシングル企画自体が、現代ポップスの洗練された美しさと多様性を物語っている。(石井)

向井秀徳と椎名林檎「SI・GE・KI」

 自作曲を封印して作られた椎名林檎のニューアルバム『禁じ手』。この「SI・GE・KI」は向井秀徳による楽曲で、2004年に発表されたZAZEN BOYSの1stアルバム収録曲のリメイク。原曲が生まれた時から椎名がこの曲を歌う可能性があったそうで、それを22年ぶりに実現させたコラボとなる。向井の決めゼリフ「繰り返される諸行は無常……」を椎名が低音ボイスで奪い取るスタートもたまらないが、フリージャズ風のアレンジが想像を絶するかっこよさ。不穏なトランペットやピアノの響きに都市の狂おしきエロティシズムが絡まり、そこにキャリアを重ねた二人の凄味が加わるのだ。とんでもない殺傷力の曲が完成している。(石井)

稲葉浩志「タッチ」

Netflix大会応援ソング「タッチ」 稲葉浩志がライブパフォーマンスで初披露!| 2026 ワールドベースボールクラシック | Netflix Japan

 『2026 ワールドベースボールクラシック』日本代表vsチェコ代表の試合前に行われたライブパフォーマンスが話題を集めている「タッチ」は、同大会のNetflixによる日本国内でのライブ配信における大会応援ソング。TVアニメ版「タッチ」主題歌、岩崎宏美の歌唱で知られる原曲はオールディーズ風のポップチューン(作曲はチェッカーズのヒット曲を数多く手がけた芹澤廣明)だが、稲葉浩志のカバーバージョンはこの曲の代名詞であるイントロのギターフレーズはそのままに、全体的にヘヴィな歪みを感じさせるサウンドを施すことによってダイナミックなロックソングへと変貌させている。かつてB'zでカバーした「セクシャルバイオレットNo.1」もそうだが、やはり稲葉にはロック〜ロックンロール系の昭和歌謡がよく似合う。(森)

HYDE「SMILING」

SMILING

 前作『HYDE [INSIDE]』と対を為すニューアルバム『JEKYLL』(つまり『ジキル&ハイド』ですね)に収められた「SMILING」。以前からライブで披露され、ファンの間でも支持を集めていたウィンターバラードだ。シックにして壮大なオーケストレーションのなかで描かれるのは、耽美という形容がぴったりのメロディライン。美しさと憂いが重なり合い、聴く者を狂おしい感情へと導くボーカルからは、シンガーとしての奥深い表現力が伝わってくる。「白い雪が心の傷を塞ぐ」「過去を忘れ、前に進むために心を壊す」というアンビバレンツな心象風景を映し出すリリックも印象的。ロマンティックな透明感とシリアスな物語性をたっぷり含んだ世界観に埋もれてほしい。(森)

ちゃんみな「Let you go feat. HIROTO (INI)」

ちゃんみな - Let you go feat. HIROTO (INI) 【Official Music Video】

 2017年3月に発表されたメジャーデビューアルバム『未成年』から9年。記念すべき10周年イヤーの幕開けとなる新曲「Let you go」は、INI・西洸人をフィーチャーした楽曲だ。ちゃんみなのデビュー当初からダンサーとして参加し、MVなどにも出演してきた西。その後、西はアーティストとしてのキャリアを歩み始めたわけだが、「Let you go」は互いに夢を掴もうと苦闘していた日々や別の道を選んだ瞬間の思い、そして、再びコラボレーションするに至るまでのストーリーが濃密に映し出された楽曲に仕上がっている。エモさを極限まで高めながら響き合う声も絶品。ちゃんみなと西にしか表現できない、まさに唯一無二の説得力こそがこの曲の最大の魅力だろう。(森)

aespa「ATTITUDE」

【OP楽曲解禁PV:aespa「ATTITUDE」】TVアニメ『キルアオ』4月11日(土)23時よりテレ東系列にて放送開始!

 TVアニメ『キルアオ』(テレビ東京系)オープニングテーマとなる新曲で、歌詞も日本語と英語が半々となっている。斬新なコンセプトと壮大なスケールでファンを驚かせてくれるのが近年のaespaなので、歌をメインとするシンプルなEDM楽曲、〈ありのまま〉とか〈描いた未来へ/進んで行くだけ〉のようなJ-POPワードが耳にスッと入ってくる体験は逆に新鮮である。なお、『キルアオ』は異世界転生もの、学園もの、アクションものといった多面的な顔を持っているが、あくまでかっこいい殺し屋の主人公に焦点を当て、我が道を行く強さを力強く歌い上げたところがaespaらしさだ。(石井)

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