King Gnu、王座を掴んだ初の東京ドーム公演 “ロックのカタルシス&バンドの絆”で到達した偉大なる通過点
2018年11月に行われた赤坂BLITZでのワンマンライブで、メジャーデビューを発表してからちょうど4年。2022年11月20日、King Gnuにとって初めてとなる東京ドーム公演の2日目が行われた。
オープニング映像が超巨大なLEDスクリーンに映り、満員の東京ドームに手拍子が起こる。映像が終了すると、「一途」のつんのめったイントロに雪崩れ込んだ。常田大希(Gt/Vo)と井口理(Vo/Key)の歌が重なり、東京ドームがハンドクラップで揺れる。ドレッドヘア&サングラス姿の新井和輝(Ba)がにこやかな表情でカメラに近づき、その新鮮な姿にドーム内が湧く。初の東京ドームだろうが何だろうが、いきなりフルスロットルで沸点を記録するのが絶対王者のロックバンド、King Gnuらしい。
「King Gnu始まるぜー!」という常田の開幕宣言からの「飛行艇」。一気に会場を揺らすダイナミックなイントロの後に、爆竹が鳴るという演出に痺れる。優れたアーティストは楽曲と一心同体であり、楽曲が導く場所へと誘われていくものだが、バンドがスケールアップしていくことを前提に作られた「飛行艇」がリリースから3年が経ち、東京ドームで5万人もの拳が突き上げられる中で鳴らされた光景は、まさにKing Gnuの有言実行ぶりを証明していた。
幕間を挟んだ本編。前半は「白日」と「雨燦々」で締め括られた。「白日」は言うまでもなく、日本中にKing Gnuの名を知らしめた楽曲ではあるが、ドラマティックな演出もなく、一つのライブとしてここに「白日」があることが一番自然だと思われる位置で奏でられた。アウトロからそのまま、あの福音のような旋律に突入。レクイエムのような「白日」から、苦闘しながら力強く生きる人間賛歌とも思える「雨燦々」へとバトンが渡されるというエモーショナルな展開。5万人が拳を突き上げる中、終始安定していた井口の歌が歓喜のあまり震え、楽曲をはみ出したこともこの日のひとつのピークだった。
本編ラストは2022 NHKサッカーテーマとして書き下ろされた新曲「Stardom」。ダイナミックなビートに手拍子が重なり、アスリートの不屈の闘志を積み上げていく。井口がAメロを歌い、炎が上がり、常田のラップ調の歌に突入する展開は生で見るとさらに鳥肌ものだった。炎が燃え盛る中、鬼気迫る常田のシャウトが炸裂する。初の東京ドームで初披露する最新曲が凄まじくかっこいいなんて最高だろう。常田がまるで勝利宣言のようにギターを掲げ、ギターをぶん回して投げるかと思いきや……投げない。勢喜遊(Dr/Sampler)はその様子を見て手を叩いて爆笑。その後ドラムセットから下り、おどけながら去っていった。