Apes、『Get Underway』ツアーファイナルで示した新境地 殻をやぶって前へと進んでいく覚悟が見えた一夜に

Apes『Get Underway』ツアーファイナルレポ

新たな挑戦への不安を吐露する一幕も ラストは「Stay alive」を披露

 そこから間を置かずに初期衝動そのもののような切れ味の鋭いサウンドにのせて〈今逃げ出そう こんな窮屈な世界から〉と歌う「Mustang」を届けると、早くもライブは最後の曲へ。それを前に坂井が語り出した。「『GATEWAY』というEPは、僕らが今までやってきた音楽から一歩踏み出して、違う表現を目指そうと作ったんです。正直、それが届いているのかは今でも不安で。そもそも今日、『GATEWAY』を聴いて気になって足を運んでくれた人がどのくらいいるのかはわからないし、今まで来てくれていた人が、僕らが新しいことをやったのを疑問に思って今日来てないっていうこともあり得るわけです」――新たな挑戦をしたからこその不安を赤裸々に吐露しながら、それでも彼は「でもそれが音楽を辞める理由にはまったくならない」と力強く口にした。

Apes(撮影=タカギユウスケ)

「少なくとも今日、賛同してこの場に来てくれた人がこれだけいる。今後またどこかで皆さんと会えたら、新しく挑戦したものたちが少しは届いているのかなって思えるので……またどこかでお会いできたら嬉しいです」

 再会を誓い、「我々の旅は終わらないっていう歌を」と「ネバーエンド」を鳴らし出す。キラキラと眩しいサウンドが、Apesとオーディエンスを未来へ連れていくように広がる。ラストでは全員で力いっぱいに音をかき鳴らし、彼らはライブ本編を駆け抜けたのだった。

 アンコールでは、坂井が「かっこいいものだけ作り続けるので、一生聴き続けてください」と力強い言葉をフロアに届けると、ドラムがバンドを鼓舞するように鳴り響く「Boying」、そして心からの叫びのようなフレーズをフロアと共有しながら突き進む「Stay alive」を届けたApesの3人。最後までタイトにまとまったバンドアンサンブルの中で、まだまだ殻を破って前へと進んでいくというバンドの覚悟がしっかりと伝わってくる、充実のワンマンライブだった。

Apes(撮影=タカギユウスケ)

■『Apes ONEMAN LIVE "Get Underway"』
2025年3月27日(木)渋谷・WWW

<セットリスト>
01.Farewell 
02.Sing for you 
03.Hesitate 
04.Where's Youth 
05.How are you? 
06.Progress 
07.Imaginary Flight 
08.スイセン
09.魔法はとけていた
10.ハイライト
11.Reservoir Dogs 
12.Mustang 
13.ネバーエンド
En
14.Boying
15.Stay alive

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