2025.03.23 16:00

若き実力者たちが踏み出した“世界”への大きな一歩　『TORA PROJECT』初のショーケースを振り返る

文＝於ありさ、写真＝中原幸、米原敬太郎

　ここでGANMIによるスペシャルステージも。レッスン生たちの初々しい姿とはまた異なった魅力で、観客を圧倒していく。世界から評価されるGANMIらしい、非の打ちどころのないパフォーマンスで会場は大いに盛り上がった。

　『TORA PROJECT』には、ここまで見事なパフォーマンスを届けたダンス＆ボーカルクラスとは別に、俳優デビューを目指す“俳優クラス”もある。同クラスのメンバー全員（綾、風間紅葵、熊井戸詩、斎藤奈菜香、佐藤日向子、瀬里来愛、中川愛由名、渡邉壱星）による初の短編映画『ラナの花』（監督・脚本：山田唯）が会場の大型スクリーンで上映され、改めて、『TORA PROJECT』がエンターテインメントにおいて、幅広い分野を担うプロジェクトであることなどを感じさせた。

　その後は、ReiのソロステージによるSUNMI「Gashina」のカバー、OTOとYUのユニットステージによるアリアナ・グランデ「yes, and?」のカバーが立て続き、両組とも後半パートの幕開けを飾るに相応しい高い歌唱力と、実力を感じさせるダンスでオーディエンスを釘づけに。雰囲気をガラリと変えたのはJUJU「やさしさで溢れるように」のカバー。EIJI、Rennosuke、Salajin、SODAI、TAISHI、YUITOによる男子6人のユニットが、キーの高いメロディが印象的なラブバラードを披露した。安定感のある高校生組（EIJI、Rennosuke、SODAI、YUITO）の歌声と、変声期を迎えていない13歳のSalajin、『TORA PROJECT』最年少で11歳のTAISHIによるハイトーンボイスで会場は温かな気持ちに包まれた。

　続いてサブリナ・カーペンター「Looking at Me」を披露したamy、KYLA、Nikki、Rei、YU、YUIKAはこれまでとは雰囲気をガラリと変え、妖艶な魅力を振りまいて表現力の幅広さをアピール。会場にいる一人ひとりの目線を奪う力強い表情とパワフルな歌声は、まさに歌の中に繰り返し出てくる〈Looking at me〉という歌詞を体現しているようであった。

　「盛り上がっていきましょう！」と言って始まったJunkoのソロステージではAnne-Marie, MINNIE ((G)I-DLE) 「Expectations」を感情豊かに歌い上げ、観客の視線を釘づけにすると、直後に1人でステージに登場し、大歓声に迎えられたEIJIは、革ジャン姿でDINO（SEVENTEEN）「Wait」をソロパフォーマンスで披露。EIJIの真骨頂と言える圧倒的なダンススキルを惜しみなく披露しながら歌い終えると、着ていた革ジャンを脱ぎ捨て、黒いタンクトップ姿にチェンジし、逞しい筋肉で会場中のファンを魅了する。Stray Kids「Hellevator」をDONGMIN、Rennosuke、Salajin、TAISHI、YUITOと共に披露すると、会場からはどよめきに近い声援が送られていた。また、このメンバーでのミニMC中には、EIJIの一挙手一投足に観客が反応する一コマも。それを見たRennosukeが音頭を取りEIJIコールが起こると、恥ずかしそうな表情で「ごめん」と呟いていた姿が印象的だった。

　その後、Ai、CHILL、KYLA、LIYA、OTO、YUIKAがテイト・マクレー「she's all i wanna be」を高い完成度のパフォーマンスで披露すると、NAYEON（TWICE）の「NO PROBLEM」をAi、CHILL、KYLA、LIYA、OTO、Rei、YUIKAがかわいらしく歌唱するステージへ。曲の中盤、ラップパートからはカラフルでカジュアルな装いに身を包んだRennosukeとYUITOが合流し、爽やかに決めた。そして、その勢いのまま、最後はAi、AOI、COCORU、Hiiro、IRU、Nikki、Yuunaがミミ・ウェッブ「Freezing」を気持ちよさそうに熱唱。曲の途中でレッスン生全員がステージに登壇し、厚みのある歌唱と大所帯ならではのパワフルなダンスを見せ、ショーケースを締め括った。

　『TORA PROJECT』のメンバーにとって、初のショーケースとなったこの日のステージ。大半の楽曲を踊りながら歌唱する“ダンス＆ボーカル”のスタイルで披露していたのも印象的で、どちらもかなり高いレベルのレッスン生が多いことが改めてよくわかるステージだった。また、日本語の楽曲はわずかで、ほとんどが英語や韓国語、時にはタガログ語で歌われるなど、グローバルアーティスト育成プロジェクトを標榜するソニーミュージックの本気も感じられた。これから夢に向かって、彼らがどのように成長していくのか、そして将来、どんなエンターテイナーとして世界で活躍してくれるのか。期待に胸が膨らむ一夜となった。