“ポストBiSH”になり得る存在は? yosugala、O-VER-KiLL、INUWASI……“ロック/ラウド系アイドル”注目株
FRUITS ZIPPERやCUTIE STREETらKAWAII LAB.勢や超ときめき♡宣伝部の大ブレイクによって“かわいい”が一大トレンドとなっている近年の女性アイドルシーンだが、その一方で、ライブ現場において根強い人気を集めているのが、ロックをベースに“かっこいい”ステージで魅せるアイドルたちだ。パンク精神溢れる破天荒な活動でシーンに大きな衝撃と影響を与えた第1期BiS(2010~2014年)、その遺伝子を受け継ぐ形で結成された“楽器を持たないパンクバンド”ことBiSH(2015~2023年)。彼女たちのオルタナティブな音楽性と在り方が刺激となり、2010年代は多くの“ロック/ラウド系アイドル”がライブハウスを主戦場に活躍していた。
だが、2020年のコロナ禍を受けて多くのグループ解散などを余儀なくされる時期が続く。もちろんPassCodeや我儘ラキアのように、その冬の時代を乗り越えて現在も精力的に活動を続けるグループも多数いるわけだが、ここでは2020年以降に結成もしくは始動した“ロック/ラウド系アイドル”の中から注目株をピックアップ。ライブハウスから東京ドームまで駆け上がって解散したBiSHの次になり得る存在、我々の中の新しい何かをスパークさせてくれるアイドルを探したい。
いま密かにポストBiSHの筆頭と目されているのが、君島凪、汐見まとい、黒坂未来、未白ちあの4人から成るyosugalaだ。PassCodeやKolokolを擁する事務所・we-B studiosと、uijinやraymayなどを手掛けてきた事務所・sakebiによる共同プロジェクト・WEXSが運営する本グループ。楽曲制作は「かくれんぼ」などのヒット曲で知られるロックバンド・AliAのメンバーと、PassCodeの楽曲プロデュースで知られる平地孝次を中心にした2チームが担当しており、両者のドラマチックかつエモーショナルな作風と、メンバー4人の(歌唱力の高さは前提としつつ)ひたむきさの滲むボーカルが共鳴し合うことで、聴く者の感情を大きく揺り動かす楽曲とパフォーマンスを実現している。
2024年には2ndアルバム『ヨモスガラ2』や配信シングル「アステリズム」など多くの新曲を届け、今年2月には東京・LINE CUBE SHIBUYAで初のバンドセットによるワンマンライブを開催。パワフルなロックサウンドを軸にしつつもコアになりすぎない音楽性、泥臭い想いや挑戦心を真っ直ぐに伝える歌詞と歌は共感性も抜群で、これからさらに多くの人に刺さることだろう。
ポストBiSHという意味では、「プロミスザスター」「BiSH-星が瞬く夜に-」をはじめ彼女たちの代表曲の多くを手掛けた音楽プロデューサー・松隈ケンタが新たにサウンドプロデュースで関わるグループも見逃せない。O-VER-KiLLは、2024年開催のオーディション『Take Your Voice to the Dream 2024』で約2,000名の応募者の中から選ばれたSARiNA、MiYU、KiLUA、RAiSAの4人組。同年10月に配信シングル「あくなき鼓動」でビクターエンタテインメントよりメジャーデビューし、今年2月には初のCD作品となる1st EP『O-VER-KiLL』をリリースしたばかりだ。
松隈らしさ全開の焦燥感と疾走感溢れるエモロック「あくなき鼓動」、よりアグレッシブな「栄光の足音」、ワイルドなロックンロール「なみだのあとには」などのパンキッシュな衝動に満ちた楽曲群は、音源はもちろんだが、ライブで体感するとより熱くなれるはず。彼女たちは現在100公演ライブ武者修行ツアー『Journey of Growth』を開催中なので、ぜひ現場に足を運んでみてはいかがだろうか。
なお、松隈は自身が総合プロデュースする新たなガールズグループ・Girls be badを立ち上げ、2024年8月にデビューさせたばかり。福岡・博多を拠点に「ユルく、ロックに、世界を目指す!」をモットーに活動しており、デビューアルバム『sixteen's mind』も彼らしいエモさ渦巻くオルタナティブなナンバーが満載なので要チェックだ。