『キミプリ』が描くアイドル像とは? “プリキュア×アイドル”の先駆者、歴代楽曲とキャラの系譜を辿る
『ハグプリ』ユニットアイドル・ツインラブ、『スタプリ』宇宙アイドル・マオなども
シリーズ第15作『HUGっと!プリキュア』では、ユニットアイドル・ツインラブが誕生。メンバーはキュアマシェリ/愛崎えみる(CV:田村奈央)とキュアアムール/ルールー・アムール(CV:田村ゆかり)で、当初は敵対する立場にありながらも歌と音楽を通じて心を通わせ合った2人が、ともにプリキュアになってから結成したユニットとなる。
ツインラブとして歌った楽曲は、自由奔放なエレキギターのフレーズがえみるらしいチアフルなポップソング「LOVE&LOVE」のみだが、彼女たちはそれ以前にも『プリキュア』シリーズでは異例の特殊EDテーマとして第18話「でこぼこコンビ!心のメロディ!」でオンエアされて感動を呼んだ「キミとともだち」や、戦闘シーンで戦いながら歌う「大好き∞無限POWER」といったデュエット曲があり、その意味では『キミプリ』と繋がる存在と言えるかもしれない。キャストの2人も、声優アーティストとしてアイドル的な人気を誇る田村ゆかりは言わずもがな、田村奈央は『アイドルマスター ミリオンライブ!』の木下ひなた役として長年アイドル役を務めており、まさに適任だった。
ほかにも、シリーズ第16作『スター☆トゥインクルプリキュア』に登場するレインボー星出身の宇宙人、キュアコスモ/ユニ(CV:上坂すみれ)は、宇宙アイドル・マオとしての顔を持っており、レトロ風味のテクノポップ「コズミック☆ミステリー☆ガール」を歌唱。本稿の主旨からは少しズレるが、同じ『スター☆トゥインクルプリキュア』では、当時でんぱ組.incのメンバーとして実際にアイドル活動を行っていた成瀬瑛美が主人公・キュアスター/星奈ひかるの声優を務める事例もあった。
そういった流れの中で『プリキュア』シリーズ初のアイドルをテーマにした作品が、今回の『キミプリ』というわけだ。プリキュア役のキャスト3名のうち、髙橋は『アイドルマスター ミリオンライブ!』の馬場このみ役、高森は『アイドルマスター シンデレラガールズ』の前川みく役でアイドル役を演じた経験もあるし、松岡は関根瞳とのボーカルユニット・EverdreaMでアーティスト活動を行うなど歌唱力は折り紙付き。その3人が歌うアニメのED主題歌「Trio Dreams」は、現実のアイドル楽曲に喩えるならハロー!プロジェクトのディスコ系ナンバーにも通じる、懐かしさと華やかさが同居した中毒性の高い楽曲に仕上がっている。毎シリーズ恒例となっているボーカルアルバムなどの音楽展開を含め、この先『キミプリ』がどんなアイドル像を描き出してくれるのか、引き続き注目していきたい。
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