リアルサウンド連載「From Editors」第66回:「ダウ90000」で新しい世界が広がった

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。

まだ間に合う、「ダウ90000」を追え

 突然ですが、「ダウ90000」をご存知でしょうか。

 最近TVを見ていると、ちょこちょこ目にしている方もいるはずです。バラエティ番組やネタ番組で見た方、もしくはドラマで知ったという方もいるかもしれません。全然知らないという方、これから知っていけるなんて羨ましい限りです。

 「ダウ90000」は、8人組です。

 「いや、『8人組です』ってなんだよ」と思うかもしれませんが、“8人組お笑い芸人”でもなければ“8人組コントユニット”でも、ましてや“劇団”でもなく、“8人組”なんです。というのも、演劇もコントもどちらも行うため、ジャンルを固定してしまうと、変なバイアスがかかってしまったり、どちらか一方の仕事しかこなくなったりという懸念があるため、あえてそれを固定せず、“8人組”と名乗っているのです。

 なので、彼らを人に紹介する時には結構厄介なんですね。「“ダウ90000”って知ってる? コントとかやってるんだけどね!」「いやいやコントやってるんだけど芸人ってわけじゃなくて、“8人組”なのよ!」「いやいや“8人組コントユニット”じゃなくて、“8人組”なの!」という感じになっちゃうんです。そんなにこだわることではないし、ご本人たちもそんな頑なではない気がしますが、ファンの痛いところですよね。

 改めて説明すると「ダウ90000」は、主宰の蓮見翔さん、園田祥太さん、飯原僚也さん、道上珠妃さん、上原佑太さん、忽那文香さん、中島百依子さん、吉原怜那さんの8人で構成されています。2020年に日本大学芸術学部出身のメンバーを中心に結成され、コントライブや演劇公演などを定期的に行い、着々と人気を獲得。直近では、7月7日に開催された『第45回ABCお笑いグランプリ2024』(ABCテレビ)で3位に輝くなど実力が認められています。ちなみに所属事務所は、柳葉敏郎さんや勝俣州和さん、木村多江さんなどが所属している融合事務所の系列会社です。ちょっと面白いですよね。

 さあ、この投稿を開いたのも何かの縁だと思って、とりあえず10分46秒を私にください。

ダウ90000 コント「今更」

 オモロくないですか。これまで見てきたコントと二味くらい違いませんか。

 分かりやすい奇人や変人は出てこないですし、ステージを広く使うような派手なアクションもありません。ただ、“いや〜なこと”に気づいちゃう人がいるだけです。この“いや〜なこと”が、誰もが絶妙に経験したことがあるようなシチュエーションなので、思わず没入してしまいます。大きく区分けすると“あるあるネタ”とも言えるようなコントですが、8人組だからこそ可能な展開と絶妙な間、高い演技力と秀逸なセリフによって“あるあるネタ”の枠を超えた唯一無二のコントに仕上がっています。

 せっかくなのでもう1作。

ダウ90000 コント「ピーク」

 これまたオモロくないですか。たまんないですよね。「なんか演劇が始まった」と見せかけて、めちゃめちゃコントですよね。他にもコントは公式YouTubeチャンネル「ダウ九萬」にたくさんアップされているので、ぜひ見てみてください。 

 もし気に入って、もっと「ダウ90000」を知りたいと思っていただけたら、ステップ2に進みましょう。YouTubeにて定期公開されているラジオ「ダウ90000900000000」です。

【みんなの学生時代】ダウ90000900000000#79【ラジオ】

 メンバーのトークを楽しむことができるシリーズで、「ラジオ」という名はついていますが、動画なのでメンバーの様子を見ながら楽しむこともできます。本シリーズですが、気合と時間とダウ愛がある人には、是非#1(2020年11月13日公開)から順番に見ていただきたいです。なぜなら、段々と大きくなっていく「ダウ90000」の歩みをドキュメント的に辿ることができるからです。会話の内容がバイトの話から番組収録の話になったり、ラジオの収録環境がグレードアップしていったりと、定点観測だからこその面白さを味わえます。

 なお本シリーズは、仲良くおしゃべりするだけのほっこりラジオではありません。蓮見さんからのぐうの音も出ない公開説教、賞レースの結果発表の瞬間や恋人に振られて大号泣する園田さん、メンバー同士が喧嘩して空気が悪くなる様子などが克明に記録されており、もはやドキュメンタリーと言っていいコンテンツになっています。また、蓮見さんは“当て書き”でネタを執筆するため、メンバーのキャラクターが分かることでよりコントを楽しめるようになります。ちなみに先ほど動画で紹介した回は、メンバーのパーソナリティが分かる“学生時代”がテーマなので、お試し感覚で見てみるのにも最適です。

 さて、ここまできたらステップ3。ぜひライブに足を運んでみてください。

 私自身、「ダウ90000」をきっかけに初めてお笑いライブを経験しましたし、あの有名な本多劇場にも初めて足を運ぶことができました。また“演劇”や“舞台”にも興味が湧き、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を観劇することにも繋がりました。

 私は近いうちに「ダウ90000」が『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティになって、さらに人気が爆発すると踏んでいるので、今のうちにファンになっておくことをおすすめします。

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