Yukihide “YT” Takiyama、B’zや氷室京介にも信頼される華麗かつ豪快なギターを堪能 一夜限りのスペシャルライブを観た

Yukihide “YT” Takiyama、日本公演を観て

 氷室京介の右腕として活躍、近年ではB’zのライブサポート、アレンジャーとしてその名を轟かせているLA在中のギタリスト、Yukihide “YT” Takiyamaが一夜限りのスペシャルライブ『YUKIHIDE “YT” TAKIYAMA EXCLUSIVE LIVE NEXT GIANT LEAP』を2025年1月12日、harevutai(東京・池袋)で開催した。

Yukihide “YT” Takiyama
Yukihide “YT” Takiyama

 フロアいっぱいのオーディエンスに出迎えられ、登場したYTはトレードマークであるVシェイプのギター、自身のシグネチャーモデルESP YT Custom V “B-lu”を低く構えると、マイクテストするように声を発した。そしておもむろにギターを鳴らす。最新アルバム『Next Giant Leap』から「Go On」でライブの口火が切られた。ステージ上手には、氷室バンドでもお馴染みのドラマー、永井利光が陣取り、ステージ下手には氷室と親交の深いクリエイター達が集まったプロジェクト、GOSPELS OF JUDASに参加したベーシスト、北川吟が居る。気の知れた2人を迎えた最小のトリオ編成により、シンプルかつ骨太なアンサンブルを響かせる。エッジィなギタープレイはもちろんのこと、ボーカルもエモーショナルに聴かせるYT。のっけからフルスロットルで攻める3人がフロアを圧倒する。

Yukihide “YT” Takiyama

 間髪入れずに「No One of a Kind」に突入。ダブテイストのダークなサウンドとスピード感が錯綜していくナンバーだ。YTは怪しさを醸すように英詞を歌う。空間系エフェクトをかけたトリッキーなYTのギタープレイ、小気味よいミュート奏法と右腕を大振りするストラムを器用に使い分ける北川、精確にリズムの波を作っていく永井、3人の息はピッタリだ。ステージのバックスクリーンに映し出された映像も楽曲の世界観を色濃く演出。そしてストレートなパートとメロウなパートのメリハリが効いたインストゥルメンタル「Afterburner」と、序盤からボルテージ全開で攻めていく。

「(ライブは)一度しかないので、間違えたりしても気にしないで。楽しんでください! 最後までよろしく!」

 YTはそう挨拶すると、グルーヴィな「Bigger on the Inside」へ。低めのザラついた歌声が、ボーカリストとしてのYTの新境地を見せる。そして、「Drop Down」をスリリングにキメると、「最近亡くなったんですけど、個人的にものすごく影響を受けた」と敬愛するギタリストのことを考えて作ったという「Playground」を披露。緻密に構築されるアンサンブルの中で、YTは泳ぐように流麗なフレーズを奏でていった。

「(今日は)カバーをやらないで自分の曲だけでやると決めてたんです。次の曲は自分の曲なんですけど、ソロアルバムには入ってないので。知ってる人は知ってるかと……」

Yukihide “YT” Takiyama

 そういって始まったのはGOSPELS OF JUDASの「Area 51」だ。GOSPELS OF JUDASは氷室とマニピュレーターのTESSY、そしてYTが中心になって始まったプロジェクトである。音源ではデジタルサウンドが重なったSF映画のような退廃的な美しさを持った同曲だが、トリオ編成の人間味に溢れた美しさで魅せていく。どこか陰のあるYTのボーカルも、彼がいちギタリストに収まることのないアーティスト性をミステリアスにしている。

 「スライドを使った曲が好きなので」とスライドバーでブルージィなフレーズを弾き出した。「Stranger on Mars」だ。ルーズに進んでいくアンサンブルが、タイトル通りオーディエンスを宇宙へといざなっていく。続く「Ballad in Blue」もスライドでギターを奏で、淡々と刻まれる永井のリズムとスタッカートで繰り出される北川のベースが異空間サウンドを生み出していく。バックスクリーンに映し出された宇宙の情景と共に、どこかの惑星に迷い込んでしまった……そんな感覚に見舞われる。そして楽曲ラストへ向かって、アンサンブルは壮大なインプロヴィゼイションに変わっていき、アグレッシヴさを増していった。

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