The Snutsが受け継ぐUKロックの歴史 すさまじい熱気に包まれた単独来日公演

The Snuts、単独来日公演レポ

 2021年に発表したデビューフルアルバム『W.L.』が全英チャート1位を記録して、一躍注目を浴びたスコットランドのロックバンド、The Snuts。2023年に『SUMMER SONIC』での初来日のステージで観客を魅了した彼らが、1年も経たないうちに単独で再来日を果たした。東京の会場は2020年にできたばかりのKANDA SQUARE HALL。スタンディングで1,000人を収容するホールはソールドアウトとなった。会場は開演前から熱気に包まれており、早くもビールを片手に盛り上がっている観客の姿も。19時--定刻通りに会場が暗転すると、どよめきが起こる中でバンドが登場した。

ジャック・コクラン
ジョー・マッギリブレー
カラム・‘29’・ウィルソン
ジョーダン・‘Joko’・マッケイ

 メンバーはジャック・コクラン(Vo/Gt)、ジョー・マッギリブレー(Gt)、カラム・‘29’・ウィルソン(Ba)、ジョーダン・‘Joko’・マッケイ(Dr)の4人。最初にプレイしたのは2024年に発表した最新アルバム『Millennials』から「Novastar」だ。歯切れがいいタイトなビート、キャッチーなコーラスなどバンドの特徴がコンパクトにまとめられた軽快なロックナンバーで、そこから「Millionaires」「Yoyo」と『Millennials』収録曲を繋いでいく。そして、ジャックは観客に「Tokio! How do you do?」と挨拶して、ギターを置くとマイクを握りしめてファンキーな「Hallelujah Moment」を歌った。ドラムが際立つ曲だが、このライブを通じて、ジョーダンが刻むパワフルなビートがバンドサウンドを支えていることが改めてわかる。

 一方、バンドのフロントマン、ジャックはトレードマークのサングラスをかけて熱唱。一曲一曲に集中して言葉をメロディに乗せ、感情を振り絞るように歌い上げる。MCは入れずにバンドは集中力をキープ。一糸乱れぬアンサンブルで突き進んでいく。「オレ!  オレ!」の掛け声が楽しいシングル曲「The Rodeo」や、ダンサブルなビートが跳ねる「Dreams」などを挟みつつ、ライブの中盤で最も盛り上がったのは「NPC」「Elephants」とダンサブルな曲を繋いでから突入した「Burn The Empire」だ。ファンクやヒップホップの要素も取り入れながらもパンキッシュな攻撃性に満ちた曲に、会場の熱気は沸点に。観客からモッシュが起こるほどで、この曲を待っていたファンも多かったのではないだろうか。

 そして、ライブが大詰めを迎えていることを感じさせたのが、自分たちの故郷のことを歌った「Glasgow」だ。おおらかなメロディから、彼らの地元に対する愛情が伝わってくる。そういえば、ライブが始まる前に会場でPrimal Screamの曲が流れていたのは地元の先輩に対する敬意だったのかもしれない。曲の終わりにジャックは「Tokio!」とシャウト。故郷から遠く離れて演奏していることを噛み締めているようにも思えた。続いて披露した「Circles」もメロディをじっくりと聴かせる曲。ジョーのスライドギターが曲を盛り上げる中、観客はメロディに合わせて左右に手を振った。

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