『あのちゃんの電電電波♪』は今最も面白くカオスな番組 あの×粗品が生み出す中毒性

 『あのちゃんの電電電波♪』(テレビ東京系)が、4月で放送から1周年を迎えた。音楽番組として、トークバラエティ番組として、今最も面白く、カオスな番組へと成長している。

 『電電電波』は、あのがミュージシャンを自宅に招き、ゲストの音楽性や素顔に迫る音楽トークバラエティ番組。番組の進行およびアシスタントを務める「飼い猫のササキ」の声は、粗品(霜降り明星)が担当している。

 『電電電波』の魅力として挙げられるのが、あのとササキの相性のよさだ。放送を重ねる毎に固まってきたスタンスが「人の欠点を見つける番組」であり、「酒飲み番組」というのも狂っているが、時折挟まれる反省会という名の総集編回で未公開VTRとして過激な悪口も流してしまうことから、スタッフ陣も含め歯止めが効かなくなっていることが窺い知れる。初回ゲストのasmiやSHISHAMOの回で、ササキが言い放った「めっちゃ女やん」は番組のLINEスタンプにも採用されている番組を代表する名言(LINEスタンプで言葉の意味合いは変えられているが)。ヤングスキニーのかやゆーへの「お前みたいなヤツ殺すためにお笑い始めた」、大原櫻子への「男性と飲み行ってるイメージ」など、よくカットにならないなと常にギリギリを綱渡りしているようなハラハラがある。ササキというキャラクターを介していることもあってか、言葉としての印象は粗品が引き受けているところがあるが、一蓮托生の如くゴシップやクスリ、下ネタの話題をノリノリで、時に無意識にぶち込むあのも相当悪い。筆者が印象的だったのは、キタニタツヤが登場した回。「性癖を教えてください」という罰ゲームのお題に、「植物に興味がある」と自ら暴露したことだ。損する可能性のある出演でも、なぜか許してしまう、話してしまう不思議なムードが『電電電波』では形作られてきている。

 それを証明しているのが、普段は音楽番組に出ないアーティストが『電電電波』に数多く出演していることだ。その筆頭が、マキシマム ザ ホルモン。マキシマムザ亮君、上ちゃんのふたりでテレビに出ることは初で、「あのちゃんとササキと仲良くなりたい」という思いから出演を快諾したという。合法な飛び方として、これまでの放送回においても指折り数えるクレイジーな内容となったが、あのも粗品もホルモンの生粋のファンということで、親和性の高い回でもあった。水曜日のカンパネラの詩羽が『電電電波』の“いいゆるさ”から出演を希望していたといい、ほかにもSiM、清竜人、神聖かまってちゃん、小山田壮平、でんぱ組.inc、呂布カルマ、石崎ひゅーいといった滅多にテレビに出ない、もしくはあの、粗品と深い関係性にあるゲストが続々と出演することで、『電電電波』の独自の色が形成されつつある。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる