ブランデー戦記、ちゃくら、パーカーズ、berry meet、KOHAKU…2024年飛躍遂げるバンドは?
2023年のバンドシーンを振り返ってみると、シャイトープ(「ランデヴー」)やConton Candy(「ファジーネーブル」)のように楽曲がきっかけで注目を集めた若手バンドが目立っていた。2024年はどんなバンドが、どのようなきっかけで話題を集めるのだろうか。2023年に聴いていた感触として、個人的に今年、要注目だと感じているバンドをいくつか紹介したい。
ブランデー戦記
2022年8月結成の3ピースバンド。2022年12月にYouTube上にアップした「Musica」が大きな話題を集め、2024年1月現在では再生数が400万回を超えている。早耳音楽ファンの間では2023年から話題となっており、『バズリズム02』(日本テレビ系)の新春恒例企画「今年コレがバズるぞ!BEST10」でも2位に。個人的にも、このバンドは今年、より飛躍するのではないかと感じている。前述した「Musica」、2023年12月にリリースした「ストックホルムの箱」もそうだが、ブランデー戦記はシックでソリッドなサウンドが印象的で、80年代〜90年代のオルタナティブロックの香りを漂わせる。一方でサウンドにのせるメロディは歌謡曲的なキャッチーさも併せ持っており、蓮月のボーカルが耳に残るように響いていく。また、オルタナロック的な要素の多い作品が目立つ一方で、楽曲ごとの参照点は異なっている印象があり、引き出しも豊富。以上の点から、老若男女に刺さる余地があり、多くのリスナーを魅了するのではないか、そんな予感を覚えるのである。
ちゃくら
2022年6月結成の4人組バンド。メンバー全員女性であり、“猪突猛進ガールズバンド”というキャッチコピーでキャリアを積んでいる。2023年はとにかくコンスタントにライブを重ねていたイメージで、パワフルかつ立体的なパフォーマンスで、オーディエンス全体の高揚感を作り上げ、会場全体が拳を突き上げたくなるようなエネルギーを生み出す。特に代表曲のひとつである「19才」の仕上がり方は劇的で、楽曲の冒頭の掛け声のパートでは会場全体が一斉に発声して、他を追随させない盛り上がりを作り出している。また、「だった人」や「海月」など、切なくも力強い感情を丁寧に描く楽曲が多く、強い共感を生み出すことも多かった印象。冒頭で触れたように、2023年は楽曲が話題になってバンドが注目されるケースが多かったが、ちゃくらは期待を超えるようなパフォーマンスをライブで披露することで、さらにその話題の輪を連鎖させていくポテンシャルを持っているバンドである。
パーカーズ
2021年3月結成の4ピースバンド。2024年1月現在、X(Twitter)のプロフィールには「POPS日本代表」という表記があるが、そのキャッチフレーズにふさわしく、楽曲もライブのパフォーマンスも、バンドの佇まいも、キャッチーで明るい眩しさを放っている。バンドの代表曲のひとつである「運命の人」や、各SNSでも話題を集めた「Goodbye」も、一度耳にすると思わず口ずさみたくなるようなキュートさがあって、ポップネスが弾けている。その上で、ギターのリフもメロディを歌っているかのように印象的なものが多く、リズムアプローチのパターンが豊富で、メロディ以外でも注目したい部分が多い。ライブでは、中華料理名を叫ぶコールアンドレスポンスがあり、会場全体を朗らかなトーンにしながら巻き込む力があるのもポイントだ。また、楽曲的にもライブの盛り上げ方も、“全年齢対象”的な明るさがあって、ロックバンドにあまり馴染みがないリスナーにもオススメしたくなる包容力を持つ。