宮田'レフティ'リョウ、原盤権をNFTで販売する意義 OIKOS MUSICスタートから1年、手応えと展望を語る

宮田'レフティ'リョウに聞くOIKOS MUSIC

OIKOS MUSICが新しいカルチャーの本拠地になっていければ

──先ほどのお話の中で、OIKOS MUSICからヒット曲を生み出していくという言葉がありましたが、その他に、現在注力しているテーマなどがあれば教えてください。

宮田:このプラットフォーム上の楽曲の数を増やす、つまり、カタログを充実させていくことです。例えば、自分の好きなアーティストのOIKOSを買って、このプラットフォーム自体の面白さに気づき、新しく興味を持った他のアーティストのOIKOSを買う、というような体験を増やしていきたいです。僕自身、高校生の時は毎週のように、渋谷のHMVやタワレコで、新しくリリースされた洋楽作品を試聴機でディスク1から5まで全部聴いて、その中の一枚を買うみたいなことをしていたのですが、感覚としてはそれに近いですね。OIKOS MUSICが単なるプラットフォームを超えて、新しいカルチャーの本拠地になっていったらいいと思いますし、そのための設計を一生懸命やっている感じですね。

──OIKOS MUSICと契約しているアーティストだったら信頼できる、というように、一つのブランドとしての価値が確立していったら、そこから新しいムーブメントやヒット曲が生まれていきそうですね。

宮田:そうですね、一つひとつの点ではなく、面をつくっていくことができれば、これまでレコードショップやライブハウスが担ってきたようなカルチャー形成の場になりうると思っています。

──カタログを充実させていくという点でいうと、すでに取り組まれているように、新しいアーティストをリクルートするという方法もあると思いますが、例えば、他のレコード会社とタッグを組むという可能性もあるのでしょうか?

宮田:大いにあり得ると思いますし、既にいくらかは他社所属アーティストのOIKOSも提供しています。

──ヒット曲をたくさん持っているアーティストの作品がカタログに加わることで、それがサブスクで再生されてOIKOS保有者への収益に繋がっていく、という流れも生まれそうですね。

宮田:特に、サマーソングやクリスマスソングのように、季節ごとに毎年かかる曲は強いですよね。

──例えば、もし今後、このプラットフォーム上で大ヒット曲のOIKOSが販売されるようになったら、先ほど話にあったような投資目的で参入してくる人が増えていく可能性もあると思います。

宮田:そうですね。資金が豊富にあることで打つ手も増えて我々が手がける新人開発のスピードなども上がっていきますし、業界全体としても見ても、音楽マーケットにお金が流入していくことはとても素晴らしいことだと思っています。

──ヒット曲に限らず、例えば投資家がある新人アーティストに惹かれて、その才能にベットする。そこからそのアーティストの活動のスケールが一気に広がっていく、というストーリーもあり得ますね。

宮田:歴史をたどれば、パトロンという、一人の作曲家をおしあげていく貴族がいたみたいなことですよね。アーティストを応援する形として、そうした形があってもいいんじゃないかなと。例えば、片田舎で一人でシンガーソングライターとして活動をしていて、ファンはその街の数十人の友達と地域の人たちのみだったとしても、こうしたプラットフォームがあれば継続的に活動していける可能性が生まれます。

 また別の文脈で言うと、現在はDTMが発達して、数万円の初期投資で自分一人で音源を作って世界中に配信できる環境が整っているものの、その中で僕が危惧しているのは、クリエイティブがDTMで完結できるものに偏っていってしまうことなんです。スタジオを押さえて、メンバーを集めて、時間をかけてレコーディングして原盤をつくるという工程はたしかにコストも時間もかかりますが、そのような体験をすることによってしか生まれない音楽も存在します。もちろん、全て自分の部屋で完成させる音楽があってもいいのですが、そうした音楽のみが溢れてシーン全体の多様性が失われてしまうことは、危惧すべきだと思っています。

 中には、DTMで作った曲がヒットして、それがきっかけとなってメジャーデビューして、その後にお金をかけて原盤を制作するというケースもあると思います。ただ、活動初期のアーティストのほとんどは、十分な原盤制作の資金を持っていないことがほとんどです。そうしたアーティストたちの活動の可能性を担保するために、OIKOS MUSICは存在しています。そして、アーティスト自身が権利へのリテラシーを高めて、しっかりマネタイズして、そのお金を使ってまた新しい原盤を作って、それがリスナーにも還元されていく。そういう世界を作っていくことで、音楽の多様性は担保されていくんじゃないかなと思っています。

──中長期、例えば3年後、5年後、こうなっていたいといったビジョンがあれば教えてください。

宮田:アーティストの観点で言うと、楽曲をリリースする時に、「とりあえずOIKOS MUSICにも出しておきたいよね」というように、我々のプラットフォームが当たり前の選択肢の一つとして浸透していったら嬉しいですね。また、リスナーの観点で言うと、「このアーティストめっちゃいいじゃん」「OIKOS買おう」「すっげえ、めっちゃ伸びてるんだけど」みたいな世界を想像しています。

──今までのお話を聞いていて、根本に皆さん自身の音楽への愛と理解があるところが、OIKOS MUSICの一番の強みなのだと思いました。そうした点は、きっとサービスを通してアーティストやリスナーにも伝わっていくと思います。

宮田:やっぱり、音楽が好きなんですよね。OIKOS MUSICにいるスタッフは全員が本当にそうだと思います。そこは、やっぱり一番手放してはいけないコアの想いだし、これからもプラットフォームを設計していく中で大切にし続けていかなければいけないと思っています。

■リリース情報
「MemoReal (feat.椎名慶治&TEEDA)」
リリース日:2023年12月20日(水)
レーベル:OIKOS MUSIC
配信リンク:https://lnk.to/MemoReal
YouTube:https://www.youtube.com/@Ryo_LEFTY_Miyata

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