草彅剛は今が一番パワフルだーー“ポジティブ思考”を積み重ねて全うするアイドルの本分

 草彅剛は“今”が一番パワフルだ。雑誌『月刊ザテレビジョン』で27年間連載してきた『草彅剛のお気楽大好き!』が完結し、3月14日に3冊目となる書籍『Okiraku 3』(KADOKAWA)が発売された。2016年1月から連載最終回の2023年12月までの8年間が収録された本書。その内容を振り返りつつ、連日各メディアのインタビューに登場しているのだが、そこで印象的だったのが「若い時より今のほうが元気なんですよ」と答えていることだった。

 長年“健康つよぽん”の愛称で親しまれてきた草彅。35歳から食事、運動、睡眠を基本とした健康的な生活を心がけていることは、ファンの間ではよく知られているところだ。早寝早起きを心がけ、毎日3分でもHIITトレーニングを欠かさない。常にりんごを持ち歩くなどフルーツを積極的に食べ、寝るときには耳栓をして眠りに集中する。

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 バラエティでも隙を見てプランクをしたり、食事シーンでも野菜から先に食べるようにしたりと、体に染み付いているのがわかる。しかし、「これをしなければ」と縛られているわけではない。むしろ、ときにはルーティン化している習慣をあえてやめてみることで、自分の体にどんな変化が起こるのかも観察していく柔軟さも持ち合わせている。日々の体調変化に向き合って「昨日と摂取してるものが違う?」と試行錯誤してノートにつけていること。そして、コーヒーを飲まない日を作ったことで、カフェインのパワーを発見したと先日もラジオで語っていたばかりだ。

 そして、毎朝楽しく目覚めるためには妄想も大事だとも続ける。古着屋の店長である自分を想像し、早朝からお気に入りのヴィンテージデニムに値札を付けて玄関にセッティング。もちろんすべて妄想なので実際にはそのデニムを買い付けるバイヤーなんて来ないのだけれど、それが楽しくて仕方ないというのだから、なんともごきげんだ。

 そう、草彅の“心身ともに健康”でいられる秘訣は“ごきげん”でいることだ。こじつけでもポジティブに考えるようにしているうちに、それが自然と身についていったという。もはや、草彅のポジティブ思考は筋トレにも近いものを感じる。最初はちょっぴりしんどいと思いながらも、エイッと朝早く起きて体を動かしたら気分が晴れるように。心をグッと起こしていけば、それが難なくできるようになっていく。その積み重ねの賜物が、草彅のこの8年間に表れているようだ。

 振り返れば、この8年は草彅にとって大きな人生の転機を迎えたタイミングだった。SMAPの解散、そして稲垣吾郎、香取慎吾とともに広げた新しい地図。これまで通りにいかない部分も多く、ポジティブな気持ちばかりではなかったはずだと想像する。しかし、それでも何かを始めようとインターネットの世界へと飛び出し、体当たりの3日間ぶっ通しの生放送『72時間ホンネテレビ』(ABEMA)を配信した。

 当時としては前例のほとんどないYouTubeチャンネル開設という挑戦も注目を集めた。「そのときの心境やいかに?」と思い、あらためて『Okiraku 3』のページをめくる。すると「作り込んでやるか、いやいや、ただギターを弾きまくっちゃおうかとか、ひとりで考えてると、オレ急にYouTuberかよ!と我に返って超ウケる(笑)」(2017年12月号より)と、想像を遥かに超えるあっけらかんとした語り口に思わずニヤけてしまった。

 2018年7月号では、3年ぶりの舞台『バリーターク』で稽古場まで電車で通っていた思い出にも触れていた。「大スターが電車で移動するなんて」と多くの人が驚いたが、当の本人はむしろ楽しんでいた様子。ホームから地上までエスカレーターを使わずに、いつも階段を駆け上がっていたことを思い返しながら「稽古場に来るまでアップできるっていう最高の階段」と表現していたのも、草彅らしさを感じる一幕だった。

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