Sadie、アンティック‐珈琲店-、SuG……V系バンドの再結成がシーンに与える刺激

 誰が言い出したかはともかく、ヴィジュアル系はいつからか“オワコン”と揶揄されるようになった。1990年代から2000年代、“黄金期”と言われもてはやされたヴィジュアル系が、現代になって“終わった文化”と呼ばれるのは何とも切ない。なぜここまで流行っていたものが下火になってしまったのか、それは単純に認知度が低くなってきたからとしか言いようがない。メンバー募集の段階からファンが一緒になって応援するというシステムが組まれていないから? いいや、問題はそこではないはずだ。1stライブが成功するまでの行程を追うなんてことはヴィジュアル系の精神とは似つかわしくない。

 売れる前から応援するのではなく、売れた後に知ることがダントツで多かったヴィジュアル系。だが、それらをPRする場であった番組や音楽専門誌がこぞって消滅した今、バンドの主なプロモーション方法といえばSNS。知る人ぞ知る音楽ジャンルと言えば聞こえはいいが、そのままでは一定のファンしかつかないと言われるのも納得してしまう。

 せっかく良いアーティストがたくさんいるのに知ってもらわないことには始まらないと思いながら、あれこれとインターネットで検索していた先日、X(旧Twitter)のトレンドワードに表示された「Sadie」という名前を見て驚くことになる。Sadieといったら、超絶技巧ダンサーもしくは、2000年代に活躍したヴィジュアル系バンドのどちらかしかないという個人的見解の下、できれば後者であってほしいという願いを込めてトレンドを覗いてみると、そこに出てきたのは、ヴィジュアル系バンドのSadieだった。

 Sadieといえば、2005年に大阪で結成されたバンドであり、90年代ヴィジュアル系を彷彿させる見た目と、ハードコアやメタル要素を盛り込んだ骨太な音楽性で人気を博した。2015年に人気絶頂のまま活動休止を決めたときは、日本だけでなく海外ファンも涙したものだが、何とこのたび活動を再開し、2024年春には東京と大阪の二カ所でライブを開催するというニュースをきっかけにトレンド入りしたという経緯だ。活動休止後はそれぞれ別の道を歩んでいたため、さすがにオリジナルメンバーで再集結することは不可能だろうと思っていたが、面白いこともあるものだ。彼らが活休前に出した楽曲「Voyage」の歌詞に〈未来図の配役はこの5人〉という言葉があるが、長い旅を続けてきた真緒、剣、美月、亜季、景の5人の気持ちが一致した今、活休前よりも良いバンドになっているのは間違いない。

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