アンティック-珈琲店-、結成20周年イヤーに実現した復活ライブ 変わらぬ輝きと躍動感溢れるステージに

アンカフェ、実現した復活ライブ

 アンティック-珈琲店-(通称:アンカフェ)が現在のメンバーで活動を開始したのは、2007年のこと。当時の彼らが打ち出した“歌って踊れるダンスロック”はとても斬新だった。そこから、シングル作品がオリコンチャートにランクインしたり、大規模な海外ツアーを成功させたりと、間違いなくヴィジュアル系シーンを牽引してきた。しかしながら、人気絶頂だった2019年に活動休止し、多くのカフェっ仔(ファンの総称)に衝撃を与えたことも印象深い。活動休止後は新たな夢や目標に向けてメンバーそれぞれが別の道を歩んでいただけに、結成20周年イヤーに特別なライブが行われることは不可能だと思っていた。

 ところが、去年6月に『OSAKA MUSE 35周年イベント』への出演をきっかけに、東京・Zepp Hanedaでの2daysワンマン『LIVE CAFE 20th Anniversary「令和で初NYAPPY o(≧∀≦)o」』が決定、みく(Vo)、takuya(Gt)、カノン(Ba)、ゆうき(Key)、輝喜(Dr)の5人完全体での復活ライブが行われることが発表された。お互いの気持ちを尊重して活動休止という苦渋の決断をしただけに、結成20周年イヤーに再集結して復活ライブを行うなんて、誰が想像できただろうか。今、彼らは、みんなが思い描く当時のキラキラとしたアンカフェを再現したいという想いでこのライブに全力で挑もうとしている。その勇姿を見届けるべく、1日目の公演に足を運んだ。

 2023年1月5日、Zepp Hanedaの前には、国内だけでなく、海外のカフっ仔の姿も多く目立っていた。続々と集まる観客でぎっしりと埋まった会場はメンバーを待つ熱気で早くも盛り上がっている。本公演は、不織布マスク着用のうえ周りに迷惑がかからない範囲であれば“声出しOK”のライブということもあり、いつも以上にワクワクしている様子が受け取れる。開演時間となり客電が暗転すると、板付き(幕が上がり、メンバーが舞台上にすでにいること)でライブは始まった。軽やかさが印象的な「願い事は1つさ」がピンク色の照明と共に演奏されると、活休前のアンカフェの記憶が鮮やかに戻ってくる。キラキラとしたビジュアル面を始め歌声も演奏も申し分なく、むしろ、活休前以上に安定して聴こえてきた。この日のためにメンバーはどれだけ準備をしてきたのだろうか、たくさんの期待を背負って行われている復活ライブなだけに、ほんの少しも妥協したくないという気合いが5人から感じられた。

アンカフェライブ写真

 「ラフ・ソング」の後には、この日最初のMCを。「久々だね、カフェっ仔。元気してましたか? 今日は色々なところから来てくれて本当にありがとうございます。まずは、みんなにお礼を言わなきゃいけないなと思っていて。この5人でまたステージに立てて本当に嬉しくて。支えてくれるスタッフやみんなのおかげだと思ってます。本当にありがとうございます。久々の5人のステージだよっていう人いますか?」とみくが手を挙げているカフェっ仔を見渡すと、「あっ、半分ぐらいいるんだね。ただいまです。長い間、みんなのことを置いてけぼりにしちゃったんだけど、今日久々に会えて、みんなの顔を見れて良かったなって思います。今日は、この5人でしっかりとアンカフェの音楽を伝えていくので、最後まで楽しんで帰って下さい」とどこか緊張を覗かせながらも自分の言葉で想いをしっかりと伝える。

アンカフェライブ写真(みく)
みく

 続く「Spring Snow」を起爆剤として、そのまま勢いよくライブは展開されていく。takuyaのギターリフが聴いていて癖になる「一発逆転恋愛ゲーム」や、メドレーで演奏された「キャンデーホリック」「踊るメルヘン時計」「似非占い」は、どれもヴィジュアル系らしい小気味よいノリで客席を楽しませてくれた。その後は、楽器陣によるソロ回しからの“今日のお題”(ここでは、各自モノマネしながら2023年の目標を発表した)へと流れるあたりも昔を思い出して懐かしく、クスッと笑える場面を何度も見せてくれた。ライブ後半は、「Cherry咲く勇気!!」や「スノーシーン」が良い印象を残し、カノンと輝喜の魂のこもった演奏力に目を奪われる。ラスト曲となった「スマイル一番 イイ♀」は、説明不要のアンカフェの代表曲。それだけに、演奏が始まった瞬間に盛り上がったのは言うまでもなく、ステージと客席が一体となって楽しさを共有していた。

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