LUNA SEA、約30年の時を経て『MOTHER』&『STYLE』デュアルアリーナツアー開幕 新たな伝説を刻んだ初日をレポート

LUNA SEA、デュアルアリーナツアー初日レポ

 LUNA SEAが、10月7日に『LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023』の初日公演を神奈川・Kアリーナ横浜にて開催した。

 本公演は、LUNA SEAの2大アルバムである『MOTHER』『STYLE』のリリースツアーを現代に再現するデュアルアリーナツアー。初日は、『LUNA SEA CONCERT TOUR 1995 MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE』(以下、『MOTHER』ツアー)の再現ライヴが行われた。

 1994年にリリースされた『MOTHER』は、LUNA SEAの4thアルバム。MCでRYUICHI(Vo)が「LUNA SEAの中心を支えてくれたアルバム」と表現していたように、当時まだ20代だった彼らの名を世に知らしめ、ブレイクのきっかけを作った名作である。そんな覚醒期に、30年近くの時を経て成熟した5人が向き合う。LUNA SEAの長い歴史のなかに、また新たな伝説の1ページが刻まれる予感がしていた。

RYUICHI(Vo)

 暗転と同時にワッと歓声がアリーナ中に響き渡る。アルバムと同様に「LOVELESS」でライヴは幕を開けた。SUGIZO(Gt/Vn)とINORAN(Gt)の奏でる神聖なサウンドが漂い、そこに真矢(Dr)の刻むタイトなリズムと、J(Ba)のうねるように動く低音が加わり、高揚感をかきたてる。オーロラのような虹色のレーザーが飛び交い、客席ではSLAVE(ファンの呼称)たちが腕にはめたLUNA SEAライトも輝き始める。まさに楽園のような美しさだ。1曲目特有の緊張感と、それを上回るほどの多幸感に圧倒されていると、ド派手な爆発音と共に「TIME IS DEAD」へ。ステージの後ろから両サイドの壁面に設置された照明が一斉に激しく点滅するなか、熱いコール&レスポンスも巻き起こり、早くも熱狂の渦が巻き起こる。

SUGIZO(Gt/Vn)

 最初のMCでRYUICHIは、「『MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE』、ようこそ! お前ら会いたかったぜ!」と力強く叫んだ後、「まずはここ、Kアリーナ横浜を愛してあげてください」と伝える。Kアリーナ横浜は大規模会場として9月末にオープンし、“世界最大級の音楽に特化したアリーナ”と銘打たれている通り、実際どの楽器もクリアに聴こえ、迫力のあるサウンドを楽しむことができた。また、ステージの後ろから両サイドの壁面まで広範囲にわたって設置された照明による演出も迫力があり、楽曲の世界観へ没入しやすい印象だった。メンバー自身もそんな会場の魅力を体感していたのだろう。

 「JESUS」で再びブーストをかけると、妖しく美しい「IMITATION」、そしてダークな世界観の「FACE TO FACE」へ。マグマが噴出するような圧巻の音がアリーナを包み込み、深い闇の世界へと観客を誘っていく。

INORAN(Gt)

 ここでRYUICHIが、「愛するお前たちが明日に思いを掲げられるように……次の曲へいってみたいと思います」と、前置きをして「CIVILIZE」へ。『MOTHER』ツアー完走後の1995年12月に開催されたLUNA SEA初の東京ドームライヴ『LUNATIC TOKYO』で、同曲を披露する前に放った名セリフまで再現するというこだわりっぷりに会場はどよめいた。

 続く「RAIN」では、スクリーンに映し出された歌詞が泡と共に消えていく演出で儚さと切なさを表現し、壮大な物語を描く「GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜」でライヴ前半のクライマックスを迎えた。

J(Ba)

 インターバルを挟み、迎えた後半戦は真矢のドラムソロからスタート。雷鳴のような凄まじい音に圧倒された観客は“真矢コール“で応え、休憩でクールダウンした会場は一瞬で再び熱を帯びる。「横浜もっと来いや! まだまだいけるだろ……まだいけるよな? このままだと、RYUICHIさん、SUGIZOさん、INORANさん、Jさん、真矢さんが出てこないぞ!」と笑いを交えながら豪快に煽り、パワフルなドラミングを披露した。

真矢(Dr)

 他のメンバーも飛び出してくると、即「FATE」を投下。わずか1分半足らずの短い曲だが、狂暴な歌詞とRYUICHIのワイルドな歌声、スピード感溢れるリズムで、オーディエンスを巻き込みながらアリーナをひとつにまとめあげた。続く「AURORA」は、空想的な歌詞と明るく美しいメロディが印象的。ダークでミステリアスな印象の強い『MOTHER』を中心としたセットリストのなかでは、その煌めきがより際立っているように思えた。

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