13人全員が主役となって紡ぐ乃木坂46という物語の続き 過去最大規模のアンダーライブ横浜アリーナ公演を振り返る

乃木坂46アンダーライブレポ

 グループの礎を築き上げた1期生、2期生がすべて卒業した2023年、乃木坂46は3〜5期生のみで全国ツアー『真夏の全国ツアー2023』をこの夏に開催。全国7都市で16公演を行い、このうち東京公演では“聖地”明治神宮野球場で初の4日連続公演を達成させた。この神宮4DAYSで公演を重ねるごとに、存在感を増し続けたのが33rdシングルアンダーメンバーだった。最新アンダー楽曲「踏んでしまった」で初センターに抜擢された4期生・松尾美佑を中心に構成されたアンダーメンバーのパフォーマンスに対し、『真夏の全国ツアー2023』のレポートで筆者は下記のように記した。

「そのスピード感含め、高難度なパフォーマンスの中心に立って統率を執る松尾の姿や表情は、公演を重ねるごとに自信に満ち溢れるものへと変化していた。最終公演のMCではそのプレッシャーを口にして涙する場面もあったが、今は彼女が座長を務める次のアンダーライブが楽しみでならない」(※1)

 3、4期生のみで初めて開催した昨年末の『31stSGアンダーライブ』(※2)、5期生が合流して初のアンダーライブとなった今年4月の『32ndSGアンダーライブ』(※3)に続いて、33rdシングルアンダーメンバーで行われた『33rdSGアンダーライブ』は9月29日〜10月1日の3日間にわたり横浜アリーナで開催。乃木坂46のアンダーライブにおいて過去最大規模となったが、開催直前に立見席を含む全チケットが完売し、最終公演はインターネット配信も用意され、『真夏の全国ツアー2023』を経たアンダーメンバーがどんなステージを展開するのかに注目が集まった。本稿では千秋楽となった10月1日公演を軸に記す。

 今回の『33rdSGアンダーライブ』は、「全員が主役」と言わんばかりの姿勢で臨んだ『真夏の全国ツアー2023』と同じスタンスで行われたものだった。それはライブ序盤から中盤にかけて用意された「ジコチュープロデュース in アンダーライブ」からもしっかりと伝わったことだろう。この「ジコチュープロデュース in アンダーライブ」はメンバーの新たな一面や隠れた魅力を伝える、日替わりによるセルフプロデュース企画で、9月29日公演では冨里奈央、阪口珠美、黒見明香、吉田綾乃クリスティー、30日公演では奥田いろは、佐藤楓、矢久保美緒、清宮レイがさまざまな手法を凝らして奮闘。歌やダンスに特化したパフォーマンスで一人ひとりの魅力を打ち出す者もいれば、冨里は朗読をフィーチャーすることで表現力の幅広さを提示したり、奥田はギター弾き語りにて自身をアピールしてみせ、清宮はバイリンガルという武器を用いて乃木坂楽曲を英訳して歌唱するなど、一人ひとりが異なる個性や魅力を存分に発揮して、自身の受け持つパートで主役ぶりを遺憾なく発揮してみせた。

 10月1日公演で「ジコチュープロデュース in アンダーライブ」に臨んだのは小川彩、向井葉月、中西アルノ、佐藤璃果、松尾美佑の5人。小川は「悲しみの忘れ方」をピアノ弾き語りで披露したかと思えば、「スカウトマン」ではキレのあるヒップホップダンスを披露して、その振り幅の大きさを見事に提示。向井は情熱的なダンスを全面に打ち出した「不眠症」と素直な歌声を響かせた「僕が行かなきゃ誰が行くんだ?」で、グループに対する深い愛情をアピールしてみせる。また、中西は巧みなボーカル力のみならずダンスにも力を入れ、彼女らしい個性が散りばめられた「〜Do my best〜じゃ意味はない」「命は美しい」を披露し、佐藤璃果は天性のアイドル力を存分に発揮させた「ゴルゴンゾーラ」「ぐるぐるカーテン」で会場のファンを魅了する。そして、座長の松尾はミュージカル調の演出で華やかさを強く打ち出した「転がった鐘を鳴らせ!」と、長身を活かしたダイナミックなダンスが見どころの「大人たちには指示されない」で同企画を見事に締めくくった。

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