13人全員が主役となって紡ぐ乃木坂46という物語の続き 過去最大規模のアンダーライブ横浜アリーナ公演を振り返る
もちろん、これ以外にも今回のアンダーライブにはたくさんの注目ポイントが用意されている。例えば、「インフルエンサー」や「シンクロニシティ」など数々の乃木坂46ナンバーで振り付けを手がけたSeishiroが、ライブ冒頭のダンストラックや続く「自由の彼方」に新たなダンスを用意。オープニングから一糸乱れぬパフォーマンスで観る者を夢中にさせる演出は、先の神宮公演で深めた絆を再確認するに相応しい内容だった。中でも、ダンストラック終盤では松尾の身体能力の高さを活かしたアクロバティックなアクションも飛び出し、本当に武器の多いメンバーが揃っていることを再認識させられた。
「ジコチュープロデュース in アンダーライブ」の合間には、グループが持つさまざまな要素の中からクールな側面を強く打ち出したブロックも用意。ここでは最年少の小川が大人びた表情/表現で観る者を驚かせる「女は一人じゃ眠れない」、曲冒頭で中西のソロボーカルをフィーチャーすることで原曲に新たな魅力が加わった「Route 246」や、気迫に満ちた向井のソロダンスからこのライブにかける思いが強く伝わってきた「Against」と、1〜2期生からのバトンを受け取った3〜5期生がその意思を引き継ぎつつ、新たな解釈を加えて乃木坂46をさらに進化させている様子も伝わってきた。
ライブ後半になると、「シークレットグラフィティー」「自惚れビーチ」「日常」「ここにいる理由」といった先輩メンバーたちが育ててきたアンダーライブの定番曲に、「口ほどにもないKISS」「届かなくたって…」など現メンバーがオリジナルセンターのアンダー楽曲を交えて“現在進行形のアンダーライブ”を堂々と提示してみせる。さらに、「このメンバーだったから今日まで楽しみながら、のびのびとやってこられました。この13人が自慢で大切だから、今日が終わってしまうのが寂しい。でも、今日が終わっても皆さんには一人ひとりの魅力を見つけ続けてもらいたいです。きっと今よりもっともっと好きになるに違いありません。それぐらいこのメンバー全員のことが、私は自慢です」という松尾のコメントに続いて、本編ラストナンバー「踏んでしまった」をパフォーマンス。この夏に積み重ねてきた経験をすべて出し切ろうとする13人の表情は、鬼気迫るものでありながらも、同時に晴れやかさも感じられるものだった。そして、全国ツアーや神宮公演はもちろんのこと、今回の横アリ3DAYSを通じて「自分たちが乃木坂46なんだ」という自信を確かなものとして、前へ歩み出した13人の決意めいたものもしっかり伝わってきた。
アンコールでは、本編よりもリラックスした表情でライブに臨むメンバーの姿も楽しむことができた。ここではフロートを使ってスタンド席を回遊する演出も用意されたが、先の神宮4DAYS公演でも全メンバーが大型トロッコやフロートに乗車することで「全員が主役」という姿勢をアピールしていたように、このアンダーライブでも同様の試みが用意されていたようだ。
アンコールのラストに用意されたのはアンダー楽曲の原点とも言える、乃木坂46のデビューシングル『ぐるぐるカーテン』収録の「左胸の勇気」。この曲をラストにセレクトするあたりからも、先輩が大切に守り続けた“乃木坂46イズム”を継承しようとする、後輩たちの強い思いを感じ取ることができたことだろう。
過去2回のアンダーライブを上回る会場の熱狂ぶりと、メンバー自身の成長ぶりで大成功を収めた今回の『33rdSGアンダーライブ』。前回の『32ndSGアンダーライブ』では初合流した5期生に(体力面や技術面、精神面において)多少の差を感じる瞬間もあったが、今回の3公演においてはそんなことを感じるタイミングは皆無で、かつて乃木坂46のファンだった少女たちの姿は、もはやそこには存在しなかった。むしろ、3〜4期生のみならず5期生もすでに最前線に立ってグループを牽引していく重要な存在に急成長していることが確認できた。
最後になるが、神宮公演のレポート(※4)にも記したことを再び力説させていただきたい。
「間違いなく、今の彼女たちこそが乃木坂46。そう強く思わせるだけの説得力を、筆者は先の神宮4日間と今回の横アリ3日感を通してしっかり受け取った。これは“再生”でもなければ“リスタート”でもない。2011年8月21日から始まった乃木坂46という物語の、決して途切れることのない“続き”なのだ。この先も紡がれていく旅の続きを、とくと楽しもうではないか」
※1、4:https://realsound.jp/2023/08/post-1417540.html
※2:https://realsound.jp/2022/12/post-1217494.html
※3:https://realsound.jp/2023/05/post-1322596.html
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