リアルサウンド連載「From Editors」第26回:Kアリーナ横浜の「音楽特化型」の意味を実感

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。 

観る・聴く環境が整えられたアリーナ会場

 この「From Editors」では、音楽以外のカルチャーについてふれるようにしてきましたが、こればっかりはふれずにはいられません。9月29日に開業したばかりの新会場・Kアリーナ横浜でライブを観てきました。

 KT Zepp Yokohamaから横浜駅に向かう時などに外観を目にしており、どんな会場になるのかと個人的にも楽しみにしていたKアリーナ横浜。9月30日、ゆずの二人が務めたこけら落とし公演の2日目に参加してきました。本会場の最大の特徴は「世界最大級の音楽特化型アリーナ会場」であること。実際に足を運べば「音楽特化型」であることがはっきりわかると思います。

 まずはステージの見やすさ。日本国内の大規模会場は、競技場として作られていることがほとんどのため、特にスタンド席はアリーナ中央に向いた座席位置になっています。しかし、Kアリーナ横浜は、前方のステージに対して客席が広がる音楽ホールと同様の構造になっているのがポイントです。まさに「客席が扇型に配置されているためどの位置でもステージが正面になる」(※1)という前情報どおりの視界でした。上部や後方の席でも遮るものがほとんどないのではないでしょうか。アリーナ含め客席スペースが横に広がっているのも、2万人の観客とステージの距離を近づける工夫の一つ。ステージの横側が客席側に少し内に向いているのでサービス映像等も見やすいかもしれません。

 そして何と言っても音がいい。歌声からストリングス、打ち込み音まで、それぞれの持ち味がダイレクトに伝わってきます。大規模会場は、音の反響・残響がネックになることがありますが、これも音響設備に力を入れたという前情報どおり。ホールのような空間の響きに加え、映画館のようなクリアで迫力あるサウンドが聴けるのには驚きでした。これまでいろいろな会場でライブを観てきましたが、この規模では初めて味わった感覚です。もちろん座席位置や公演ごとに感じ方は変わると思いますので、ぜひ一度体感していただきたい。いろんな音楽ジャンルのライブが観てみたくなる会場でした。

 最後に。こけら落としにして、会場のポテンシャルを全力の演出で伝えきったゆずのライブも圧巻の一言。全国各地の会場を知り尽くし、ここ数年も止まることなくライブエンターテインメントを更新してきたチームとしての底力を感じました。記念すべきライブの模様は近日ライブレポートでお届けします。

※1:https://realsound.jp/2023/09/post-1440792.html

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