SEKAI NO OWARI、RADWIMPS、BUMP OF CHICKEN……スタジアム規模のバンドがなぜライブハウスツアー?

 世にいるほとんどのバンドの原点には、ライブハウスがある。最初は数人、場合によってお客さんが0人というところからライブをはじめ、切磋琢磨していきながら少しずつお客さんを増やしていく。それに比例して、ツアーを回るライブハウスのキャパシティが少しずつ大きくなり、いずれはアリーナやスタジアムなどでライブを行うことになる。やがて、そのスケールでツアーを回ることが恒常的になり、ライブハウスでの公演は少なくなるのが常だろう。

 しかし、スタジアム規模でのライブを経験し、今も大規模公演を行えるバンドが、あえてライブハウスでライブを行ったり、ツアーを組むといったケースも見られる。近年であれば、BUMP OF CHICKENが『BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee』と題して、全国6カ所のライブハウスツアーを行った。ライブハウスツアーは、バンドにとって約10年ぶりのことで、ファンにとっては待望のツアーになった。

 そしてSEKAI NO OWARIは2023年に、11年ぶりとなるライブハウスツアー『Terminal』 を開催。同ツアーは全国8カ所のZeep系列の会場をまわるツアーだ。また、RADWIMPSも、2023年に8年ぶりとなる全国5カ所のライブハウスツアーを行うことがアナウンスされている。

 なぜ、スタジアム規模のバンドがライブハウスでツアーを行うのだろうか。それを考えるために、まず今回のライブハウスツアーを行うにあたって、RADWIMPSが公式HPにて発表したメッセージを確認してみたい。

今回、3年ぶりにようやくコロナによる制限のないライブができる状況となった時、僕たちの中で「ライブハウスでライブがやりたい」という気持ちが自然に、でもとても強く湧き上がってきました。

どれだけ経とうとも僕たちの音楽の原体験の場。

生の声が聞こえ、響き合い、お互いの汗も飛び合い、もみくしゃになりながらのライブがやりたい。当たり前ではなくなってしまった僕たちにとっての「ライブ体験」をもう一度噛み締めたい。

そう思いました。(※1)

 バンドの方針によって異なるが、スタジアム規模の会場は指定席であることが多く、ライブハウスでの一般的なライブはスタンディングで開催される。指定席の場合、それぞれのスペースをきちんと確保でき、安全かつ快適に楽しめる点が魅力のひとつ。一方、スタンディングの場合、どこで観るのも自由、“身体で音を楽しむこと”に関して原則制限を設けない点が魅力のひとつとなる。

 自由である分、観客側に委ねる部分が大きくなるため、価値観が異なる者同士が集うとトラブルが生まれるリスクもあるが、自由であるからこその楽しみ方はかけがえのないものだ。もちろん、野外などの大きな会場でスタンディング形式を設けることもあるが、ブロック単位に分けた管理をする必要があるし、ステージと観客までの物理的な距離が遠くなるため、ライブハウスのスタンディングとは異なる空気感になることが多い。

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