男女合同事務所の難しさ 『日プ3』発LAPONE所属ガールズグループの成功が日本のアイドル文化を大きく変える?

男女合同アイドル事務所の難しさ

 BiSHや豆柴の大群など、多数の個性派女性グループが所属する音楽事務所・WACK。同事務所初の男性グループ・BOYSGROUPが、5月14日に大阪で行われたツアー最終公演をもって解散した。2022年2月と8月の「WACKメンズ合同オーディション」を経て、2023年1月に1stアルバム『We are BOYSGROUP』を、5月10日には1stシングル『スーパーヒーロー』をリリースしたばかりだった彼ら。同グループのオフィシャルサイトには「今後の活動が困難であると全員で判断し、グループ解散という選択肢を取らせていただく決断に至りました」と、解散理由を説明するコメントが掲載された。

 これまでも様々なサプライズのあったWACK所属グループということで、今後どうなるかはまだ読めないが、ここで思い至ることのひとつが、日本におけるアイドル、ダンスボーカルユニットの所属事務所の特徴である。日本では、アイドルグループやダンスボーカルグループを輩出する芸能事務所の多くが、男女を明確に分けたものであることが多い。乃木坂46と一部OGが所属する乃木坂46合同会社、櫻坂46、日向坂46やそのOGが所属するSeed & Flower合同会社、モーニング娘。’23やアンジュルムなどが所属するアップフロントプロモーション、Snow ManやSixTONESらが所属するジャニーズ事務所などが、その代表的な例だろう。男女両方のグループを手がける事務所で一定の成功を収めている事務所としては、EXILEや三代目 J SOUL BROTHERS、Girls²、MOONCHILDなどが所属するLDH、女性アイドルとしてはももいろクローバーZ、男性ユニットとして超特急らが所属するスターダストプロモーションが代表格として挙げられるが、そのほかは成功例が非常に少ない。このことから、日本ではグループをプロデュースする上で、男女で少し異なる知見やノウハウが蓄積されてきたと言えるのではないだろうか。

 日本では、アイドルグループに対して「個性」や「親しみやすさ」を求める傾向が強い。これから光る原石としてデビューしたアイドルを推し、彼ら・彼女らが成長する姿を楽しむのが主流である。その過程の中で、ライブや握手会、オンラインミート&グリート、誕生日イベントなどに参加して、推しメンバーの人柄に触れ、ますますそのメンバーのことを身近に感じて好きになり、さらに応援する……という形で、アイドルの推し活を楽しんでいる方も多いのではないだろうか。

 また、アイドルカルチャーについて多数の書籍を出版している田中絵里菜は、このような日本のアイドル文化を反映した、日本ならではのライブ参戦の特徴を過去のインタビューで以下のように語っていた。

「(前略)(日本のアイドルのファンは)友人とみんなでお揃いコーデをして客席で少しでも目立とうとしたり、うちわでアピールしたり、どちらかというより「個」にフォーカスしたヲタ活が多い、と言っていました。現場のコミュニケーションの取り方が違うんだなと思ったんですよね」(※1)

 パフォーマンスに惹かれて応援している人も多いが、そこに加えてタレント一人ひとりの個性や人間性、キャラクターが重要な推しポイントになっており、いわゆる“ガチ恋”のような応援スタイルの人も少なくないだろう。タレントの個性をファンにアピールしてプロデュースする方法はそのターゲットの属性によって大きく異なるはずだ。

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