『PRODUCE 101 JAPAN』制作陣に聞く、オーディション番組が持つ特別さ 初のガールズグループ誕生となるSEASON3の展望も

『日プ』スタッフインタビュー

 2016年に韓国で放送開始となったオーディション番組『PRODUCE 101』シリーズ。その後日本でも『PRODUCE 101 JAPAN』、『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』が放送され、番組視聴者である「国民プロデューサー」に選ばれたメンバーによるボーイズグループ・JO1、INIが誕生した。JO1は『第73回NHK紅白歌合戦』に初出場、INIは武道館公演の成功と両グループともその勢いはどんどん大きくなっている。『PRODUCE 101 JAPAN』放送開始以降、日本国内では多くのオーディション番組が制作されたが、その中でもなぜ『PRODUCE 101 JAPAN』シリーズはここまで多くの人の注目を集めることになったのか。ガールズグループオーディション『PRODUCE 101 JAPAN SEASON3』を前に、LAPONEエンタテインメントの事業部長、『PRODUCE 101 JAPAN』シリーズのプロジェクトマネージャーLIM HEE SEOK(イム・ヒソク)に制作の立場から見た『PRODUCE 101 JAPAN』シリーズ、そして『PRODUCE 101 JAPAN SEASON3』への展望を語ってもらった。(編集部)

ハイスピードで制作が決まった『PRODUCE 101 JAPAN』

 まず2017年ごろ、『PRODUCE 101』シリーズのグローバルな人気を受けて日本でも制作することになった際について聞くと、すでに「日本で成功できる」という確信を持っていたと振り返った。

「韓国で2016年にスタートした『PRODUCE 101』シリーズは番組的にも大きな熱狂を生みました、それだけでなく番組からデビューを果たしたアーティストもまた相当な人気を呼びました。この時期はK-POPのグローバルな人気が上昇していた時期でもあり、グローバル指標を分析してみたところ、特に日本での反応が熱いことが確認できました。デジタル環境に慣れている若い世代を中心に、リアルタイムでK-POPとK-コンテンツを受け入れ、楽しむ傾向が強くなっていて、すでに番組の話題性と認知度を保有している日本で『PRODUCE 101』シリーズを展開すれば、成功できると確信し、2017年から日本での展開に向け準備を始めました。韓国のエンタテインメント最大手・CJ ENMと日本のマネジメント最大手・吉本興業が意気投合し設立したLAPONEエンタテインメントを介した最初のプロジェクトとして、『PRODUCE 101』を掲げ、短期間で意思決定が行われたのち、プロジェクトがスタートしました」

 一見順調なようだが、一方で心配な部分もあったという。

「韓国で放送された番組と比べると、プログラムの編成方式が異なったり、韓国の場合は数年間準備してきた芸能プロダクションの練習生が参加の対象でしたが、日本の場合は、一般の方が参加の対象になっているという違いがあり、そういった点がどのように見られるのかという懸念はありました。しかし、逆にそういうポイントが差別化戦略になったと思います。

 一般の方が参加対象になったことで、よりドラマチックな展開となり、日本人を中心に構成されたK-POPスタイルのボーイズグループであるJO1、INIを熱心に応援してくださるファンがたくさんつく形になりました。両グループともに、望んでいた成功に近い形で実現できたと思います」

 韓国の番組との違いをむしろ盛り上がりに繋げた『PRODUCE 101 JAPAN』だったが、制作の中では日韓合同プロジェクトならではの苦労があったという。

【初公開】 PRODUCE 101 JAPAN 『ツカメ~It's Coming~』 パフォーマンス映像

「『PRODUCE 101 JAPAN』の時は、CJ ENMと吉本興業が制作を進めることになりました。しかし、大規模なプロジェクトにもかかわらず、プロジェクトチームの人員が少なく人手が足りない状況が続き、大変だった覚えがあります。LAPONEの法人設立を進める人や、『PRODUCE 101 JAPAN』を企画・制作する人など、CJ ENMと吉本興業からも多くの人員を割き、短期間でスピーディーに作り上げたのも振り返ってみれば奇跡だったのではと思います。さらに、韓国と日本の物価が異なるので番組の制作費用など予算を超えてしまうケースが多く、難航するような出来事もありました。

 『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』についてはコロナ禍で作られたので、同じ空間に多くの人が集まることすらできず、制作が難航しました。出張などが思うようにできない時期だったので、コミュニケーションをとるのが難しく、この時期は問題が多く発生しました。韓国でセットを制作して船便で日本に運搬したり、参加者の検疫など、いわゆる“コロナコスト”までかさみ、制作や運営の面で予想できず予算を超えてしまいました。シリーズを制作する度に多くの人々が尽力し、その苦労や努力が今の成果につながっていると思うので、大変なことも多かったですが、今でも喜んで思い返すことができます」

 『PRODUCE 101』シリーズに限らず、多くのオーディション番組が放送されている昨今。制作の立場から見たオーディション番組の魅力は「ドラマチック」であることだという。

「オーディション番組は、参加者にとっては残酷な側面もあります。短期間で自分の全てをさらけだし、魅力をアピールすることで生き残ることができます。その過程で傷ついたり、1回きりのオーディションで夢を諦めてしまうケースを幾度となく見ました。ですが、その反面、人気のあるオーディションに参加することで自分の価値と認知度を短期間で上げられる絶好のチャンスでもあります。

 視聴者からすれば、短い期間の中でのスピーディーな展開、緊張感、笑い、悲しみ、残酷さ、知らなかった人材の発見、自分も知らぬ間に“推しメン”に注ぐ愛情など、他のどんな番組でも感じることのできなかった“ドラマチック”な要素が魅力だと思います」

 誰にも予想がつかない展開で見るものを熱狂させるオーディション番組。その中でも『PRODUCE 101 JAPAN』が持つ魅力はどのような部分にあるのだろうか。

「日本のK-POPファンが『PRODUCE 101』という韓国を代表するオリジナルオーディションを経験し、直接参加できる側面が一番の違いだと思います。オーディションの名家と言われるMnetのフォーマット、特に“国民プロデューサー”という呼び方と、視聴者が直接投票に参加できる楽しさ、“推しメン”の成長を支援する熱心で自発的なファン文化などが日本の視聴者にも伝わった。そこに進んで参加して経験できる面白みが一番大きな魅力だと思います」

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