湊あくあ×Junky、創作活動において大事にしているもの 「#あくあ色ぱれっと」ヒットで考えた“バズる”ことへの向き合い方

湊あくあ×Junky対談

僕の中のあくあさんのイメージは「可愛いだけではないアイドル」(Junky)

Junky
Junky

ーー他には、あくあさんが後ろを向いて振り返ったりする振り付けもお馴染みの、間奏のギターも印象的です。この部分についても、どんなふうに考えたか教えてもらえますか?

Junky:間奏の部分は、あくあさんが持っている色々な魅力を伝えるために、曲の中に起伏をつけようと思って加えていきました。あくあさんの場合、たとえば配信を見ていても、かっこいいあくあさん、可愛いあくあさん、面白いあくあさん……と本当に色々なあくあさんがいると思うんです。「#あくあ色ぱれっと」にもその要素を入れたいと思って、間奏の部分には楽曲に変化をつけるようなギターのフレーズを入れてみました。

あくあ:そこまで考えてくださっていたなんて……! 確かに、「#あくあ色ぱれっと」って〈愛をみんなに届けたいよ/ほしいよ〉と言っていたり、「でも今度は自分が引っ張っていくよ」と言っていたり……1曲の中に色んな感情が詰まっている曲だと感じていたので、何度も繰り返し聴いたり、歌いたくなるんだなと、今お話を聞いていて思いました。

ーー完成した楽曲を『あくあ色すーぱー☆どり~む♪』で初披露したときの思い出も教えてください。

あくあ:あのライブは「せっかくのソロライブだから、どの曲も歌って踊りたい!」と思って「#あくあ色ぱれっと」も含むほぼ全曲でダンスを踊りながら歌ったので本当に大変でした。当時の私はまだまだダンスはほぼ未経験だったので、今思い返してもすごく恥ずかしいです。でも、あのライブがあったからこそ今の自分があるし、あの場で「#あくあ色ぱれっと」を披露したからこそ今があると思うので、「やってよかったな」と思っています。

Junky:僕も観させていただいて、すごく感動しました。僕のイメージしているあくあさんって、「#あくあ色ぱれっと」でも披露されていますけど、感受性がすごく豊かで、声も色々な表情を表現してくれる、「可愛いだけではないアイドル」という感じなんです。どこか儚く消えてしまいそうな、不思議な魅力のあるアイドルだなぁと思っていたら、あの日は「#あくあ色ぱれっと」を歌った後、余韻のある終わり方をされていて印象的でした。

あくあ:ライブの最後がシンデレラっぽい演出になっていたんですよね。

ーー公演の最後に「#あくあ色ぱれっと」を歌ったあくあさんが「またね」と言って消えていき、シンデレラのガラスの靴だけが残される、という構成になっていました。

あくあ:ライブを準備する中で最後にもうちょっと何かほしいと思って、(0時になると魔法が解ける)シンデレラのような演出を思いつきました。それで、「ガラスの靴を置いていくような演出にしてもらえませんか?」と提案をして、本当にギリギリの中で制作していただきました。「#あくあ色ぱれっと」は、ラストのサビの「約束だよ」という歌詞の後にアウトロがあって、「あぁ 愛してもっと」という歌詞で終わりますけど、その部分がめちゃくちゃエモいので、少し儚げに、切なく終わるのもいいのかな、と思ったんです。

ーーあくあさんの楽曲は「普段はダメな部分もあるけれど、アイドルの舞台ではキラキラ輝きたい」という気持ちが表現されている曲も多いと思うので、シンデレラのガラスの靴のイメージは、あくあさんのもともとのアイドル像とも繋がるように感じられますね。

あくあ:私が活動をはじめた頃は、ホロライブというグループがここまで大きくなって、今みたいに大きな会場でライブが出来るようになって、オリジナル曲をたくさんの人に聴いてもらえるような日が来るとは思っていませんでした。でも、そんなところからみんなでスタートして、ちょっと泥臭くても努力をして頑張って走ってきたという気持ちがあるんです。そして、その中で私も「いつかシンデレラでいう舞踏会のような大きなステージに立ちたい!」と夢見ていたので、そういう意味では近いところもあるのかなって思いますね。

ーー「#あくあ色ぱれっと」はその時点でもホロライブのリスナーさんやVTuberのリスナーさんには人気の楽曲でしたが、さらに2021年の年末頃から、おおしま兄妹さんの振り付け動画などをきっかけにTikTokで大流行しました。このバズがはじまった頃、みなさんはそれをどんなふうに見ていたんでしょう?

あくあ:まずは、「えっ、なぜ今?!」という気持ちでした(笑)。でも、「有名なTikTokerさんが『#あくあ色ぱれっと』を踊ってくれている」という話を聞いて、「陽キャの世界に飛び込んでみるか……!」と初めてTikTokをはじめてみたら、そこには「#あくあ色ぱれっと」を踊ってくれている人が本当にたくさんいて、ピンチズームの動画で使ってくれる人たちもどんどん増えていって、「こんな世界もあるんだ!!」と本当にビックリしました。そうしているうちに、いつの間にかTikTokを開くたびに自分の曲が何度も流れる状態になってきて、「これがバズってるってことなのかな……!」と、すごく不思議な気持ちでした。

Junky:僕も感覚としては近くて、TikTokはもともと面白い動画をちょこちょこ見る程度だったんですけど、「#あくあ色ぱれっと」がバズってからよく見るようになりました。自分がそれまであまり知らなかった場所で、自分がかかわらせていただいた楽曲が流行っていて、本当に色々な方が投稿してくれていることがすごく嬉しかったです。「#あくあ色ぱれっと」が使われている動画を定期的に見回ってくれる友人もいて、あくあさんご本人が動画を出した際には、「見た?!」とその友人から電話がかかってきたりもしました(笑)。

あくあ:私も、VTuberの友達から「TikTokを開くたびにあくたんの声が聞こえる!」とめちゃめちゃ言ってもらいました。本当に嬉しかったです。

ーーご自身ではずっと「自分は陰キャだ」と言ってきたあくあさんが、ある意味陽キャが集まる場所とも言えそうなTikTokで人気になるというのは不思議な話ですね。

あくあ:そうなんですよ(笑)。本当にビックリしました!

ーーみなさん自身は、この曲が人気になったのは何が理由だったと感じていますか?

あくあ:何でしょう? 理由を考えるのはすごく難しいですけど……。

Junky:僕の解釈としては、あくあさんの声で〈ねぇもっと! 好きになってもらいたいの!〉と歌っている、そのワンフレーズ/ワンパンの魅力なんじゃないかな、と思っています。曲をつくった僕が聴いても、「あのフレーズをあくあさんの声で歌われたときの可愛さはすごいな」と思うので。そこが響いてくださったのかなと。

あくあ:あと、〈ねぇもっと! 好きになってもらいたいの!〉という歌詞が、リスナーにとって感情移入しやすいものだったからなのかな、と思いました。「#あくあ色ぱれっと」の歌詞って、女の子はきっとみんな思う気持ちですし、男の子も秘めた部分で思ったりするのかな、と思うので。それを爽やかなメロディに乗せてくださったことで、たくさんの人に聴いてもらえたのかな、と個人的には思います。だから色んな方が共感してくださったのかなって。

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