湊あくあ・大空スバル・桃鈴ねねの唯一無二なバランス まろん×KO3が語る、NEGI☆Uを体現した楽曲制作の裏側

まろん×KO3、NEGI☆Uの楽曲制作秘話

  VTuberグループ「ホロライブ」所属の湊あくあ、大空スバル、桃鈴ねねによるNEGI☆Uが、1stEP『ねぎゆーのパないうた』をリリースした。本ユニット初のEPとなる本作は、3人のわちゃわちゃした雰囲気を詰め込んだパーティーナンバーや王道アイドルソングなど、NEGI☆Uらしさ全開の4曲が収録されている。

 リアルサウンドでは、今作収録曲の全作詞を担当した まろん(IOSYS)と、リード曲「PANIGHT」の作編曲を担当したKO3(Hifumi,inc)の対談を企画。両者から見たNEGI☆Uの魅力をはじめ、オタク×電波×クラブサウンドを煮詰めたような中毒ソング「PANIGHT」の制作秘話を中心にトークを展開。バーチャルアイドルの特性やTikTokを筆頭としたバズソングの潮流など、VTuberの音楽制作にまつわる話をクリエイター目線で広く語ってもらった。(編集部)

まろん&KO3が取り組んだ“TikTokに最適化”した曲作り

【MV】PANIGHT / NEGI☆U【湊あくあ・大空スバル・桃鈴ねね】

ーー今回まろんさんが作詞、KO3さんが作編曲をつとめた「PANIGHT」は、最初にサビの歌詞を制作し、そこからコンペでサビメロを決定。サビ完成後にフル尺を作るという順序だったんですよね。

まろん:そうですね。僕がお話をいただいたとき、TikTokでサビだけを先に公開して、そのあとにフル尺を作る新しいタイプのリリース方法を考えていると伺って。なので最初、僕が15パターンくらいサビの歌詞を書いたんです。

KO3:そんなに書いてたんですか!

まろん:そうなんです。その中からどれかいいのがあったら使ってくださいっていう感じでお渡しした中から、4作品使いたいですという回答をいただきまして。その4作品で、この歌詞に合うサビを作って欲しいというコンペが行われた形ですね。

ーー15個の歌詞はたとえばどのような内容のものがあったんですか?

まろん:“VTuber用語体操”っていう歌詞とかがありましたね。TikTokの大喜利楽曲っていうコンテンツがあって、それに則ってひたすら〈てえてえクソ雑魚それは草〉みたいにリズムよくフレーズを繰り返しているだけなんですけど、それに合わせて踊りとか画面が入れ替わるみたいなイメージで書いたりしました(笑)。

 KO3さんは、4パターンくらいの歌詞があってどれか好きなもので制作するっていう形だったんですか?

KO3:そうですね。歌詞を元に、自分の思うパーティー像を曲に反映させました。

まろん

ーーサビから先に完成させることの難しさなどはありましたか?

KO3:いや、普段サビから作ることが多いので、むしろ得意でした。

まろん:フル尺は先にKO3さんに作っていただく形になったんですよね。KO3さんがクラブ系が得意っていうことは存じていたので、ドロップがある楽曲にしてほしくて。この曲を作っていたときってTikTokでは「Stay Young」というバウンス系の楽曲が“パリピダンス”って言われて結構流行っていたんです。そういったUKハードコア的なモチーフが入れば、今のシーンで盛り上がるのかなと思って。そしたらバチバチにクラブ系のドロップのある曲だったので、めちゃくちゃテンションがあがりましたね。

KO3:「Stay Young」は好きな曲なので、そういう方向性で、とリクエストをいただいたときは、得意分野だしやりたいことやっちゃえみたいな(笑)。本当に僕の趣味も盛りだくさんの曲を作らせていただいて、楽しかったです。

まろん:この楽曲って、いわゆるAメロ、Bメロ、サビっていう歌ものの展開ではないですよね。ビルドアップがあるっていうのもあるんですけど、それまでにあるパートが違っていて、パート割するとFまであるのかな。サビを制作した後に、どの箇所から作っていったんだろうと、すごく気になりまして。

KO3:普段はサビを最初に作って、そのあとはイントロから順番に作っていくんですけど、この曲に関しては、制作に入る前にとりあえずクラブに行きました。それでめちゃくちゃうまいDJの展開を曲に反映したような感じなんです。たとえばドロップが続くフレーズは、ガンガン曲が変わるDJからとってきたみたいな。あとは思いつくがままにっていう感じですね。

まろん:そうだったんですね。曲を聴いたときにクラブの空間がすごく想像できるようなオケだなと思ったので納得しました。

KO3:普段はこういうことはやらないのでめっちゃ楽しかったです。

まろん:なるほど。普段は1Aを書いたら2Aも同じメロディになったりしますけど、最初のメロディがもう出てこないな~って思いながら歌詞を書いて(笑)。面白い展開ですし、最近の曲って3分前後くらいで短くなっているので、この曲もさくっと楽しめるプラス、内容が詰まっているので短いとは感じない、とてもバランスがいい楽曲だなっていう印象はありました。

KO3:飽きさせない展開づくりというところは、結構意識していましたね。

ーーTikTokでのリリースが前提にあった制作ということで、すでにバズっていたものを参考にした部分もありますか?

まろん:いろいろ追っている中でTikTokでバズるものにいくつか共通する特徴が3つあると気付いて。まず、“音として遊ぶ余地”があるかどうか。いわゆるパリピ文化とか、踊りがつけやすいかどうかですね。2つ目は“印象に残るセリフ回し”があるかどうか。最近で言うと「にっこり^^調査隊のテーマ」っていう「プロセカ(プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク)」の楽曲とか、あとは〈あたいの足技みさらせやー〉で流行った弊サークル(IOSYS)の「スカーレット警察のゲットーパトロール24時」とかですね。3つ目の特徴は、“歌詞がエモかったり、歌詞に対してすごく同調できる”ような楽曲。そのどれかが流行るかなっていうのはあって。それらのいいところを取って詰め込んでみよう、というのが今回の企画の中での個人的なテーマでもありました。なので今言った3つが全部綺麗に入ったのが「PANIGHT」なんじゃないかなと思っています。(大空)スバルさんの〈ddd DJ!!〉っていう声ネタから入るドロップパートにはぜひダンスをつけて踊ってほしいですね。

ーーおふたりはTikTokにはどんな印象を抱いていますか?

KO3:TikTokはこの曲を作ることが決まってからちゃんと見るようになったんです。自分はDJもやっているのですが、普段クラブではよく聴くけど、一般的にはあまり聴かないような曲が流行っているなと。

まろん:それこそ「Stay Young」をはじめ、最近だとハンズアップの早回し系の曲とかも流行っていて。僕が今まで日本のクラブで聴いていたハードコア系の曲で普通にみんなが遊んでるのは嬉しく感じますよね。

KO3:めっちゃ嬉しいですよね。ちゃんと流行るんだって思いました。

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