伝統とテクノロジーが融合した新たな形、テクノ屏風が開帳 YMO愛に満ちた生演奏やトークセッションで濃密なイベントに

『テクノ屏風開封の儀』レポート

 国内外の音楽とアートをユナイトしていく新しい形のレコード会社、ユーマ株式会社の創立20周年プロジェクトの一環として企画された「TechnoByobu(テクノ屏風)」。

 「TechnoByobu」とは、国内外の著名なアーティスト/クリエイターによるアートを日本の伝統の美および先端技術NFTと融合させ、テクノの精神を体現したアートピースシリーズだ。第一弾は、Yellow Magic Orchestra(以下、YMO)世界デビュー時のワールドワイド版1stアルバム『Yellow Magic Orchestra』(1979年/日本リリースは前年)のジャケットのために、ドイツ出身のイラストレーターであるルー・ビーチが作成したアートワークを施した『Electronic Fan Girl』。その受注開始日である3月3日、「TechnoByobu」お披露目プログラムである『〜テクノ屏風開封の儀〜 TechnoByobu joins TECHNOH LAB.』が行われた。能舞台や茶室が供えられ、季節ごとの新鮮な食材を用いた和食と共に日本の伝統芸能を楽しめるレストラン、日本橋・水戯庵にて開催。当日の模様はDOMMUNEで生配信され、多くの視聴者がその特別な儀式を目撃することとなったほか、後半には重要無形文化財総合指定の認定を受けたシテ方宝生流能楽師・辰巳満次郎と日本のテクノシーンを牽引するケンイシイによるコラボレーションイベント『TECHNO LAB.』も行われた。

写真=Victor Nomoto(Metacraft)

 イベントは、水儀庵の由緒正しき老松を描いた鏡板を背景にした3間4方の能舞台を中心に行われた。まずは、内田輝のクラヴィコードと東野珠実の笙による生演奏から始まり、『Electronic Fan Girl』のビジュアルがプロジェクションマッピングで映し出された。藤舎花帆の小鼓と鳳聲晴代の能管、東野珠実の笙の演奏に合わせて、高橋千と岩見理奈(武楽座)が舞うと、YMO「東風」のBGMが流れる中で、本日の主役「TechnoByobu」が開帳される。伝統芸能とテクノロジーの融合を体現するような演出と、そこに現れた「TechnoByobu」の眩い輝きに、会場内からはこの日一番の盛大な拍手が沸き起こった。

 続いてはトークセッション。ユーマ株式会社の代表取締役・弘石雅和、「TechnoByobu」の製造を担当した歴清社の代表取締役・久永朋幸、NFTを担当した株式会社シャワーの代表取締役・舘龍太が登壇し、「TechnoByobu」の精神性を語り合った。弘石曰く、ユーマ株式会社の創立20周年にあたる2021年から「TechnoByobu」企画をスタート。コロナ禍で当初予定していた周年記念イベントを断念せざるを得ない状況に陥っていた頃だったそうだ。ちょうどその折に、新たなワークスタイルを目指して、渋谷から、20周年を経て初めて南麻布にオフィスを移転。 そこに茶室があり、飾れるものを探していたところ、ユーマと自分自身の原点である「テクノ=YMO」に立ち返って、「音楽とアートを結びつけよう(“U/M/A/A=United Music and Arts”というユーマ株式会社のコンセプト)」とひらめき、久永に声をかけていったのが「TechnoByobu」の始まりだという。

 2つ目のトークセッションは、オープニングの演奏を担当した内田輝(クラヴィコード)と東野珠実(笙)と弘石によるもの。坂本龍一とも交友関係があるという内田と東野の話から、伝統芸能とテクノの親和性の高さが具体的に明かされていく。

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