Dragon Ash、美しい大合唱に導かれた“新たな革命の予感” オールタイムベストな選曲で圧倒した代々木ワンマン

Dragon Ash、代々木ワンマンレポ

 2月23日、Dragon Ashのデビュー25周年を記念したツアーの最終公演『DRAGONASH 25th ANNIV. TOUR 22/23 〜ENTERTAIN〜 FINAL』が、国立代々木競技場 第一体育館にて開催された。この日の公演で、コロナ禍において長年にわたり封じられていた声出しが、彼らのワンマンライブにおいてついに全面解禁された。今回は、そのあまりにも特別な一夜の模様を振り返っていく。

Kj

 歴代のアーティスト写真や作品のジャケットが、過去から現在へ向けてカウントダウン形式で巨大ビジョンに映し出されていくメモリアルな映像を経て、この日のライブの口火を切ったのは、ツアータイトルにも冠されている楽曲「Entertain」だった。はじめはステージ全体を覆っていたLEDビジョンが曲の展開に合わせてゆっくりと上昇していき、この曲のエモーションが極地に達するサビのパートで、ついにメンバーたちがその姿を観客たちの前に現した。〈さあ逆襲の時だ  ほら/その声を僕に  聴かせて〉というKj(Vo/Gt)の言葉は、まるで、声出しが解禁されるこの日のために綴られたかのような眩い響きを放っていた。曲のラスト、全力で声を響かせる観客たちに向けて、歓びと充実感に満ちた表情を見せるKjがサムズアップをしたシーンが忘れられない。

 そして立て続けて、2月にドロップされたばかりの新曲「VOX」へ。おそらく多くの観客は、同曲がこの日のライブにおける重要なハイライトを担うことを予想していたはずだが、まさかいきなり2曲目に披露されるとは思っていなかっただろう。その怒涛の展開を受けて、そして、〈答えてよその声こそ/僕らが音を鳴らす理由自体なんだ〉というDragon Ashの存在意義を伝える渾身の言葉に呼応するように、会場全体から、ライブ冒頭とは思えないほど大きな歌声が高らかに響いていく。なんて感動的なオープニングなのだろう。

櫻井誠

 今回のセットリストは、デビュー初期のレア曲を含めて、これまでDragon Ashが歩んできた旅路を改めて総括するようなオールタイムベスト的な選曲であった。それぞれの楽曲のイントロが鳴るたびにフロアから大歓声が巻き起こる光景は久々で、観客の合唱やコール&レスポンスを受けて、その声に負けじとさらに歌と演奏に熱が漲っていくライブならではの展開にも強く心を動かされた。何より、バンドサウンドのアタック感と鋭さ、また、スクラッチの切れ味にはさらなる磨きがかかっていて、四半世紀以上にわたり板の上に立ち続けてきたDragon Ashが誇る気迫に、ライブ中、何度も圧倒されてしまった。また、ステージ上に置かれたIKÜZÖNE(馬場育三)のトレードマークである赤&青のシャツが時おりビジョンに映し出されるたびに、胸がいっぱいになった観客はきっと多かったと思う。

 この日初めてのMCパートで、櫻井誠(Dr)は、「うるっていうかもう、演奏に支障が出るくらい感情が込み上げてきてしまいまして」と胸の内の想いを伝えた上で、「みんなの声が枯れるまで出させますので、よろしくお願いします。」とフロアに向けて力強く宣誓した。ラテンに傾倒したタームの楽曲「Ivory」や、キャリア初期の代表曲「Let yourself go,Let myself go」の後に披露された「Episode 4」では、盟友 スケボーキングの2MC・SHUN(Vo/MC)とSHIGEO(Vo/MC)がゲストとして登場するという嬉しいサプライズも。Kjと3人でステージ上を所狭しと駆け回りながら繰り広げる熾烈なマイクリレーに、フロアの熱気が何段階も高まっていく。また、「静かな日々の階段を」のラストでは、RIP SLYMEの「One」のフレーズ〈それぞれひとつの life/ひとつの愛を yeah, yeah〉を組み込む一幕があり、「Lily」では、Kjが終盤の〈あと少し咲いて  泣いて  笑っていたいから繰り返し僕ら〉部分の歌唱を丸々フロアに託して、美しい大合唱が巻き起こった。

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