Dragon Ash、美しい大合唱に導かれた“新たな革命の予感” オールタイムベストな選曲で圧倒した代々木ワンマン
クライマックスに向けて、まだまだ怒涛の展開は続く。最新ナンバーの一つ「Tiny World」で、Kjは冒頭の〈世界はここにある〉を〈音楽はここにある〉と替えて歌い、ライブを通して共に声を重なり合えることの歓びを高らかに伝え、「Jump」では曲名の通り、観客の一斉ジャンプが何度も巻き起こった。その後に披露されたのは、これまでDragon Ashのライブにおけるハイライトを数え切れないほど担ってきた「百合の咲く場所で」だ。本来Kjのラップパートは“静”のパートにあたるが、その一つひとつのフロウに滲む並々ならぬ情熱はすでにフロアに共有されていて、その後の“動”のパートにおける爆発力と会場全体の一体感は凄まじかった。
ここでKjは、コロナ禍におけるトライ&エラーの繰り返しの約3年間を振り返りながら、一緒にライブシーンを前へと進めてくれた観客に向けて丁寧に感謝の想いを告げた。そして、久しぶりの「ミクスチャーロックは好きですか?」という言葉から、誰もが待ち望んでいたであろう至高のロックアンセム「Fantasista」へ。コロナ禍において長きにわたり封印されていた楽曲であり、昨年からセットリストに加わり始めていたが、観客の声が重なる、つまり完全体の「Fantasista」がワンマンライブで披露されるのは本当に久々である。「あり得ねえぐらい飛び跳ねろ!」「腹の底から声上げろ!」というKjのアジテーションを受けて巻き起こるのは、大合唱を超えた大絶唱だ。あの会場に集った誰もがずっと待ち望んでいた最高のライブ空間を、ついにこの手に取り戻すことができた。その輝かしい実感をさらに深めるような、とても感動的な時間だった。
ヒップホップグループ・ラッパ我リヤと共に轟かせた「Deep Impact feat. Rappagariya」、観客の喜怒哀楽の全ての感情を受け止める覚悟を示した「A Hundred Emotions」を経て、本編を締め括ったのは、シンフォニックで壮大な轟音を全方位に打ち鳴らす新たなライブアンセム「New Era」であった。そしてアンコールでは、初期の痛快なロックンロールチューン「Drugs can't kill teens」の後に、記念写真の撮影とそれぞれのメンバーからの挨拶を経て、「Viva la revolution」「Curtain Call」で美しい大団円を迎えた。
「Viva la revolution」を歌い始める前に、Kjは今回も「今日は革命前夜!」と叫んでいて、その鮮烈な響きの余韻がいつまでも消えない。コロナ禍において失ってしまった時間や機会は決して少なくなかったかもしれないが、今回の公演が象徴的であったように、2023年を迎えた今、ライブシーンはポストコロナ期へ向けて大きな前進を果たした。冒頭でKjは、〈さあ逆襲の時だ〉と高らかに宣言していたように、ここから始まる新しい“革命”への期待が無際限に高まる一夜だった。
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