Chilli Beans. 激動&飛躍の2022年がバンドに与えた刺激 VaundyやBOBOらとの共作秘話も
「(Vaundyと)一緒にやるからこそおもしろい曲をやりたい」(Maika)
ーーうん、タフになった感じがしますね。今回の『mixtape』もいろいろなアーティストとコラボして音楽を作っているわけですけど、そういうものが生まれてきたのも必然だなって思います。これはどういう経緯でこういうコンセプトになったんですか?
Maika:最初は提案してもらったんですよ。コラボっていう形で次の作品を出すのはどうかって提案があって、その流れでせっかくコラボするんだったら普段からChilli Beans.と交流があったり仲良くしてもらっている方々と一緒に作りたいよねということになって。
ーー知っている人とはいえ、改めて一緒に曲を作るということで、これまでやってきたこととは違う刺激がありました?
Maika:うん、全然違いました。そもそも自分たちじゃない人のメソッドが入るっていうこと自体が新しかったし、制作過程も新しいことが多かったし。
ーー1曲目の「daylight」からすごくいい曲で。これはクリスマスソングですけど、この時期に改めてEPになるっていうのも含めて、もっとChilli Beans.自体のことをメッセージとして込めた曲のようにも聴こえますね。
Maika:この曲は1年ぐらい前からデモ自体はあったんです。それを今回、EPになるにあたって先行配信するのはどうかっていう流れでもう1回リアレンジして。そこでちょっと構成を変えたり、メロディを変えたりしてできあがりました。
ーー「クリスマス」っていうモチーフはどの段階からあったんですか?
Maika:最初から。〈新しいクリスマス〉というフレーズが最初に思い浮かんで、それを中心に組んでいきました。
ーーLilyさんは「daylight」という曲についてどう思いますか?
Lily:今までにない要素がいっぱい詰まってるなと思って。静かだけど情熱がある、ちゃんとパワーを感じられる曲だなって思います。演奏していてもすごく楽しいし、(ツアーファイナルの)豊洲PITで初めてやったときもめちゃくちゃ気持ちよくて。広いところで演奏するのにぴったりな曲だな、チリビってこういうのもできるんだってすごく思いました。
Moto:確かに新しい感じはするよね。〈新しい〉だけに(笑)。サビも落ち着いているというか、ずんずん進んでいくような、無理していない感じがあって、チリビの新しい一面になったんじゃないかなって思います。沸々している感じというか。
Maika:なんか、ナイーブな強さを感じる曲ですよね。一見、ピンって指で弾いただけで折れちゃいそうに見えるけど、でもめっちゃ中で燃えている、そういう強さ。私はそういうものにすごく儚さを感じるんですけど、そういう曲になったなと思います。強いのに儚い、みたいな。そういう曲はたぶん今までなかったし、それでいてかっこいい曲を作れたことがすごく嬉しいですね。「無理していないかっこよさ」って感じがして、すごく好きです。
ーー本当にそうですよね。だからこの曲の主人公はクリスマスの賑やかで華やかなところから逃げ出そうとする。その逃げるっていう行為はすごくナイーブなものかもしれないけど、すごく意志を持って自分の決めた方向に行くんだっていうのは強いですよね。そういう意思を宣言するような曲だなと思いました。
Maika:うん。
ーーなぜそれが可能なのかっていうと、たぶんこのサウンドだからなんだろうなと思うんです。派手ではないけど、でもどっしりしていて、ずんずん前に進んでいくようなサウンド。そういう部分でこの曲を支えているのがYuumiさんのドラムだと思うんですけど。
Maika:うん。ライブでも叩いてもらうようになって、Yuumiからは本当にめちゃくちゃいろんなものをもらっている気がします。
Moto:ライブでの曲の繋がりとかについていろいろなアイデアを出してくれたり、こういう雰囲気にしたいとか考えて試してくれたり。
Lily:たくさん経験をしてきているから、そういうのもすごく教えてくれるんです。
Moto:最初はリズムは全部同期だったので、1曲ずつ止まっていたんですけど、Yuumiさんが入ることで初めてライブってこういうことなんだって思った。
Maika:すごく感情豊かだし、感動したら泣くし、ムカついたら怒るし。ライブが始まる前とかも「楽しもうね!」って声をかけてくれたり。本当に今まで経験してきたことすべてを出してくれている感じがします。
Lily:楽しむことが一番だよっていうのをすごく感じる。
ーーそれがだんだんチリビの音とか曲にも出てきているような感じがするんですよね。Yuumiさんと一緒にやることで注入されているエキスみたいなものが。
Maika:うん、特にライブパフォーマンスとかは本当に感化されてると思う。
ーーこの曲を聴いていてもそれを感じるんです。そういう意味でもチームで一緒にやってきたことの成果なんだろうなって思いました。
Maika:はい。ツアーファイナルの豊洲で初披露したんですけど、そのときもすごく盛り上がって。会場がビートと一緒に揺れている感じがして楽しかったですね。
ーーそして「rose」はVaundyと一緒にやっていますけど、改めて彼との制作はどうでしたか?
Maika:おもしろかったね。
Moto:自由だったよね。こんな自由になっていいのかって思った。これは元の音源があって、それを共有して作っていったんですけど。
Maika:ラフなデモを作っていて、そこにベースを入れて、セッションみたいな感じでLilyがギターを入れてくれて、そこにラフなメロが乗っかってっていうのをVaundyに送って。で、彼と一緒に4人でスタジオに入って、そこで構成を練り直したり、その場で新しいメロを作って入れたりとか。そうやって作っていきましたね。
ーー本当にセッションっていう感じですね。そのやりとりはスムーズにいったんですか?
Maika:でもスタジオに入ってからはめっちゃ早かったよね。その前のデモ制作の段階では結構いろいろあったので、できあがるまでがスムーズだったというのは適切な言葉ではないかもしれないけど、この曲をやるって決まってからのVaundyとのやりとりはトントンと進んでいきましたね。
ーーこの曲、チリビとVaundyが真正面からぶつかり合ってる感じがしたから、結構せめぎ合ったのかなと思ったんだけど、そういう感じではなかったんですね。
Maika:そもそもどの曲をVaundyとやるかっていう段階で、それぞれにお互いにないものが引き出せたりとか、一緒にやるからこそおもしろい曲をやりたいっていう話をしていて。たぶんそれを前提にして曲ができていったから、お互いのいいところがぶつかり合っている感じになったのかなって思いますね。
ーーMotoさんはVaundyと一緒に歌うというのはどうでしたか?
Moto:基本的にバウさん(Vaundy)が歌うところはバウさんが考えてくれて、自分の歌うところは自分で入れてっていう感じだったんですけど、曲自体がセッションっぽいからこそ、歌はそうじゃなくて、ちょっとかわいらしくてちょっとあやしい、みたいな感じがおもしろいんじゃないかなと思って作っていました。サビのメロディは一緒に考えているときにバウさんが入れてくれて。「こういう感じもできるんだ」って思いました。自分だったらそうはしないかもしれないけど、バウさんとやったことで耳に残りやすいものになったなって。