Chilli Beans. 激動&飛躍の2022年がバンドに与えた刺激 VaundyやBOBOらとの共作秘話も

Chilli Beans. の2022年

 2022年は初のフルアルバムに初のワンマンツアーと新たな挑戦を次々と成功させ、そのワンマンツアーを東京・豊洲PITのソールドアウトという最高の形で終えたChilli Beans.。各地のフェスにも出演し、メディアでも次々とピックアップされるなど彼女たちへの注目度はどんどん高まっている。

 そんなチリビが2023年のスタートとして繰り出すのが3rd EP『mixtape』だ。これまでプロデューサーと組むことはあっても、基本的には3人の手で曲作りからアレンジまでをおこなってきた彼女たちだが、今作ではより踏み込んだコラボレーションが展開されている。参加しているアーティストは盟友ともいえるVaundy、ライブのサポートメンバーとして密接な関係性を築いてきたYuumiやBOBOというドラマー陣、そして相思相愛の関係性から今回のコラボが生まれたyonkey。特にVaundyやYuumiについては単に演奏や歌唱にとどまらず、ソングライティングの段階からガッツリ入って、一緒に作品を作り上げている。

 それぞれの参加アーティストの個性がおもいきり発揮され、これまでとは違う新しいチリビを感じることのできる作品だが、それと同時に強く感じるのは3人の芯の部分のタフな成長だ。歌詞に込められたメッセージにも、楽器や歌の力強さにも、これまでの作品とは違う3人の姿を感じることができる。だからこそこんなにも自由でカラフルな作品を作り上げることができたのだろう。彼女たちがどんなことを感じ、考えながらこの1年を過ごしてきたのか、改めて振り返ってもらった。(小川智宏)【最終ページに読者プレゼントあり】

「(The 1975を観て)必死に自分の人生を生きればいいんだと思った」(Lily)

ーー2022年はとてもいい形で進んでこれたと思いますが、みなさんにとってはどんな1年でしたか?

Lily:たくさん学んだ1年でした。こんなに自分たちの曲を聴いてくれている人がいっぱいいるんだっていうのもライブで実感できたし、フェスにもたくさん出ることができて、そこで他のアーティストのライブを観ることができたのもよかったなって思います。こういう表現をしている人がいるんだとか、実際に観て刺激ももらえたし、自分が好きなパフォーマンスってどういうものなんだろうということも考え直したりする期間になりました。最終的にはやっぱり自由に、あまり考えすぎないでお客さんと楽しむことが一番大事だっていうことに改めて気づきましたね。

ーー何か印象に残っているライブってありますか?

Lily:本当にいっぱいあるんですけど、やっぱり『サマソニ』(『SUMMER SONIC 2022』)が一番大きかった。人生の中でもめっちゃ大きな出来事だったんじゃないかなって思います。出演もしたし、大好きなアーティストもいっぱい来ていたし。初めてThe 1975のライブも体感できて、言葉にならないぐらい感じるものがありました。なんか、必死に自分の人生を生きればいいんだなってすごく思いました。The 1975にはなれないし……めっちゃ好きだし、なりたいけど、それと私は違うから。憧れはあるけど、自分の人生しかできないっていうのをすごく感じました。

Moto:私も大事なものを見つけたなと思いました。結構怒涛で、ついていけないって思っちゃうような時期もあったんですけど、本当に自分が大事にしたいもの、多くは無理だから「これがあれば」みたいなものを大事にしようと2023年に踏み入れたって感じです。

ーーそれはどういう心の動きの中でそう思ったんですか?

Moto:この『mixtape』もそうですけど、いろいろな人が関わることが増えて。そういうのがあまり得意ではないのでちょっと疲れた部分もあるけど、いろいろなやり方があるんだとか、気づいた部分もあるんです。そう思うようになると、楽曲制作とかライブとかでもいろいろ試してみたいなと思うようになったし、今は結構前向きかもしれないです。

ーーMaikaさんはいかがでしたか?

Maika:刺激的な1年だったなって思いますね。初めてのことがすごく多かったから、ツアーもそうだし、そもそもワンマンも初めてやったし。なんかずっと昔のことに感じるんですけど、(ワンマンから)実はまだ4カ月くらいしか経ってなくて信じがたいです(笑)。本当にそれぐらい、一瞬で過ぎたようでめちゃくちゃ長かったなと思っていて。刺激的だったし、考えることも多かったし、でも総じて楽しかったし。めっちゃ濃い1年でした。

ーーツアーをやって何か印象に残っていることはありますか?

Maika:ワンマンはそれまで東京でしかやったことがなかったのに、全部で8都市、ワンマンを初めてする都市が7つもあって、こんなに日本各地にチリビのことだけを観に来てくれる人がいるんだっていう。それを初めて目の当たりにした感じがして、びっくりもしたし、実感できて嬉しかったですね。

Lily:ツアーは日によってセトリを変えたりもして、曲順で場の空気も変わるんだっていうのも体感できて。そういうのも新しい発見でした。長いツアーだからわかったこともあるのかなって。

Lily

ーーそうやって全国にファンが増えたり、メディアでも注目されたりしていることがプレッシャーになることはないですか?

Lily:私は結構フェスだと強気に出るタイプで、目の前に自分たちを知らない人もいるからこそ、自分のしたい表現をやりたいってすごく思うんです。でもワンマンって自分たちのことを知って観に来てくれているから、がっかりさせたくないっていう気持ちが強くなっている自分がいて。それに気づいて「どうしよう」ってなっていました。強気にはなれない、なんか違う自分になるんだなってすごく思いました。違うバンドの人がいっぱい出ていたりすると「自分たちはこうだぜ」みたいなのを発揮したくなるんですよね。アウェイだと燃えるタイプなんだなって。

Moto:私はライブでお客さんに対してプレッシャーは全然感じないんですけど、人がいっぱい関わるようになったので、伝えたいことをうまく伝えられるかとか、そういうことを考えるときはありました。やっぱり苦手だなとか。あと、これはプレッシャーなのかわからないですけど、「これで大丈夫かな」「ちゃんとやりたいことができているかな」みたいなのはありました。それこそいろいろな人と作ることも増えて、この表現でいいのかって考えることもあったし。でもそれも今はなくなったので、現状はプレッシャーはないですね。

Maika:私もモニ(Moto)と結構似ていて、テレビで取り上げられたりとか、ライブのお客さんが増えたりっていう部分でプレッシャーを感じることはなくて。どちらかというと、内輪っていったら変ですけど、自分で自分にかけているプレッシャーだったりとか、あとは別にかけているつもりはないけど、制作の過程でやっぱりかかってくる何かというのはあって。それこそすごくタイトな制作だったり、やらなきゃいけないことが重なったり、自分の中で処理したいことがどんどん増えていったときに、うまくやりたいのにできないとか、自分だけの目線じゃなくていろいろな人から見た目線で物事を考えたいのに、そこまでする余裕がないとか、そういう自分に対する苛立ちじゃないですけど、「もっとうまくやりたいのに」みたいなところでプレッシャーを感じることは多かったかもしれないです。

ーーそれは責任感みたいなもの?

Maika:ああ、でもそれはあるかもしれない。「私がやらなきゃ」みたいなことは思っていないんですけど、できる最善を尽くしたいと思うと、やっぱりどうしてもそういう気持ちになっちゃうときが出てきます。

ーーなるほど。今話を聞いていてすごく思ったんですけど、3人ともこれまでインタビューさせていただいたときと話しぶりが変わりましたよね。

Maika:えー(笑)。今までどんな感じでした?

ーーいや、もっとフワフワ、モジモジしていた感じがするんですよ。すごく客観的に自分のことを見ることができているんだなって思います。

Maika:これはこれでいいみたいに思えるようになっているのかもしれないですね。

Moto:うん。

Maika:「別によくない?」っていう。それもいろいろな人と喋ったりとか、それこそいろんなアクトを観たりすることで思えるようになったのかもしれない。

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