Chilli Beans.、三者三様の感性が溶け合う音楽制作のメカニズム “自由”で連帯する絶妙なトライアングル

チリビ、音楽制作のメカニズム

 Chilli Beans.(以下、チリビ)の1stアルバム、その名も『Chilli Beans.』が完成した。堂々のセルフタイトルを掲げたアルバムには、バンドを結成して最初に作った「lemonade」からこのアルバムのために書き下ろした新曲まで、チリビのこれまでの歩みを捉えた全14曲が収録されている。どの曲も彼女たちの大きな武器である演奏力や楽曲の構成力、音楽やメンバーへのリスペクトなどが存分に注ぎ込まれていて、1stアルバムとは思えない完成度だ。

 このアルバムを聴いて、改めてこのバンドは面白い、と思った。面白いというのはファニーという意味ではなく、「こんなバンドほかにはいない」ということだ。3人全員が曲を書けて歌える、というのはバンドの売り文句としてありそうだが、チリビはどの曲でもそれを全力で実行している。誰か1人が書いた曲もあるけれど、ほとんどの曲はサウンドも歌詞も3人のアイデアが重なり合ってできている。そして、本当に全員歌う。楽曲の中で3人の会話を楽しむように声を掛け合い、言葉をパスし合う。その3つのピースのひとつでも欠けたら成り立たないような絶妙な三角形の中で、彼女たちはユニークな音楽を生み出し続けているのである。

 なぜチリビはそんなふうにユニークなメカニズムを持つバンドになったのか。アルバムを入り口に、チリビをチリビたらしめているものについて聞いてみた。(小川智宏)【最後に読者プレゼントあり】

「これがChilli Beans.です」と示せた(Maika)

Chilli Beans.

ーーとてもいいアルバムだと思います。まずはおひとりずつ手応えを教えてもらえますか?

Lily:新曲も結構入っているから、今の自分たちができることに挑戦した作品だと思います。達成感はめっちゃあります。

Maika:「嬉しい」の一言に尽きるというか。今までずっとデジタル配信でリリースしていたので、CD盤が初めて出るというのも嬉しい。今までまとめてレコーディングに入る期間がなかったので、こんなに時間をかけるものなんだと最初は驚きがあったんですけど、やりきることができてよかったです。

ーーMotoさんはどうですか?

Moto:曲が盛りだくさんな感じで、それぞれの感性とかも1つにギュッとなっているんで、いろんな目線で楽しんでいただけるんじゃないかと思います。なんか考えてきた答えみたいになっちゃったけど(笑)。

ーー3人の中に「こういうアルバムにしたい」というイメージはありましたか?

Maika:セルフタイトルにもわけがあるんですけど、特に「こういうものを作ろう」というよりは、とにかく今自分たちにできるもの、自分たちが持っているものを集合させようみたいな感じで作りましたね。これが「私たち」って感じ。今までの作品は曲数が少なかったので、共通のコンセプトや世界観を見つけやすかったと思うんです。でも今回は曲数が14曲もあるし、いろんな曲が入ってるから、「これがChilli Beans.です」と示せたように思います。

ーー今作には、結成初期に作った曲も入ってるんですか?

Maika:「This Way」とか「It's ME」はたぶん「lemonade」の後ぐらいにできてるんで、めちゃくちゃ初期ですね。

ーー確かにこの2曲だけ少し毛色が違う感じがしますね。よりブラックミュージックのニュアンスが強いというか。

Maika:うん。ファンキーな感じですよね。

Chilli Beans. - School (Official Music Video)

ーー1曲目のリード曲「School」は、最初からアルバムの顔として作ろうみたいなイメージでしたか?

Lily:全然です。3人でスタジオに入って、「なんか曲を作ってみよう」みたいなノリで遊びながら作った曲ですね。

Maika:もともと歌のパート分けも違ったもんね。この曲自体が「歌い分けるの楽しそうじゃない?」みたいな話からはじまったので、いろいろ歌割りを試しながら作っていきました。あと、この曲は歌詞も3人で書いたんですよ。ライブを観に行った帰りのカフェで、ドリアとか食べながら(笑)。

Maika

ーーそういう書き方って今までもしたことあるんですか?

Lily:「This Way」とかもその場で「こういうのかっこいいんじゃない?」って3人でワードを出し合って書きましたし、「マイボーイ」も。

Maika:そうだ、新幹線の中でね。

Lily:そう。Motoが書いてくれた歌詞をベースに、その場で3人で相談して加えたりして作りましたね。

ーー今さらっと話してますけど、それって結構難しくないですか?

Lily:でも面白いよね。

Moto:うん。自分が浮かばなかったときとか、悩んだときも「こういう感じじゃん?」ってフワッとした言葉でももらえると、「確かに」と進んだりするんですよ。

Lily:そのときに考えたことをその場で言った方が良いと思っていて。いろいろ考えすぎると、その感じが歌詞に出ることもあるし。考え込まれたものより、自然に出てきた歌詞の方が私たちらしいのかなって。

ーー会話しながら作る感じはチリビっぽいですね。スリーピースバンドでよくあるのが、誰か一人が引っ張って「ここまでやったからあとはよろしく」と投げるパターン。そのほうがスムーズに進むことが多いと思うんです。

Lily:私たちはそれぞれキャラクターが全然違うから、絶対こういう風にした方がかっこいい、みたいな想像がしやすいんです。

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