INIはファンと手を取り合い、互いに支え合って駆け上がっていく 初の武道館公演レポート
オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』から誕生し、昨年11月にデビュー1周年を迎えたINI。2年目に突入した彼らが昨年12月から全国4都市13公演12万人を動員したアリーナツアー『2022 INI 1ST ARENA LIVE TOUR [BREAK THE CODE]』が、1月8日、日本武道館でファイナルを迎えた。
火花が散るステージから登場するや否や、「Tokyo! Get ready?」の合図を皮切りにしてデビュー曲「Rocketeer」を歌唱するメンバーの姿は、そのタイトルの通りロケットのよう。ダンスブレイクでリーダーの木村柾哉が「ラストいくぞー!」と叫ぶと、ラストサビで放たれた銀テープがツアーファイナルの開幕を告げ、目からも耳からも高揚感を高めていく。続く「Cardio」「BOMBARDA」では「Put your hands up、武道館!」と響きわたる煽りに会場のボルテージはヒートアップ。尾崎匠海が「マップを広げた時に武道館のところが輝くくらいホットスポットにします」と気合十分な様子を見せたり、髙塚大夢が「この2時間半は泣く時間じゃないですからね。楽しんで帰る時間にしましょう」と伝えたりした姿からは、彼ら自身も悔いのないよう最終日に臨んでいるのが窺えた。
新年の挨拶をした序盤のMCでは、2023年が卯年であることにちなみ2本のタオルをうさ耳に見立てたり、年男の藤牧京介が「もっとたくさんのMINI(INIファンの呼称)に会うこと」と今年の目標を話す後ろでは、木村が両手で藤牧の頭上にうさ耳を作るお茶目な一面を見せ、先程のクールなステージとのギャップを見せていた。
今ツアーのコンセプト“BREAK THE CODE”には、ライブ中にも出てくる数々の「コード」をINIがパフォーマンスで破壊していくという意味が込められている。「武道館が“BREAK”するくらい盛り上がる準備できてますか?」と誘う池﨑理人の声に導かれ、披露されたのはオーディション課題曲でもあった「RUNWAY(INI Ver.)」。運命が決まった日から1年半の時を経てさらに説得力を増した澄んだ歌声に耳を傾けながら、横ノリの曲調に合わせて揺れるライトブルーのペンライトに目を向けると、11人が互いに大きな愛と深い信頼関係を築いてきたこれまでの時間が脳裏に浮かんでくるようだ。宇宙で爆発が起こるような映像と壮大なサウンドがリンクする「ONE(INI Ver.))」との対比が、INIというグループの幅広い可能性を強く感じさせる。
「What is a friend?」=友達とは何か、というテーマで作られたVCRが明けると、流れ始めたのはアルバム『Awakening』収録の「Do What You Like」。〈もっとゆっくり〉と歌う佐野雄大の肩を西洸人が両腕で揺さぶる姿が画面に映ると、会場中が笑顔に包まれた。その明るくあたたかな空気に浸っていると、モニターに映し出されたのはスノードーム。R&Bテイストのラブソング「KILLING PART」でステージ左右に大きく広がったメンバーは、MINIに手を振って視線を通わせながら移動していく。後藤威尊と許豊凡、藤牧と西が背を預け合っていたり、西が自分のパートで池﨑と肩を組んでピースすると池﨑が照れて会釈する素振りを見せたりと、ステージの至る所でわちゃわちゃするINIに、観客は目が足りなかっただろう。最後には髙塚と藤牧が中央でうさ耳ポーズをする“とどめ”のショットが映り、黄色い悲鳴が上がる。続く「AMAZE ME」では、佐野が1番のサビ前にうさ耳ジャンプ、許が2番のサビ前に頭上でハートを作ってジャンプし、他のメンバーもそれに続く。これは武道館公演でできた流れだそうで、観客を飽きさせない工夫が随所に散りばめられているのを感じた。
MCではVCRにあった「アイコンタクトして、お互いの気持ち、確かめ合おう」という台詞を披露する選手権を決行。木村、池﨑、藤牧が個性溢れる「確かめ合おう」の台詞を披露する中、ラストに指名された尾崎の“あざと可愛い”表現にはメンバーからも「これだよこれ!」と絶賛の声が。
続いて「MINIのための曲」と語る「Brighter」では、「自分の応援、届いてるかな? と思うこともあるかもしれないけど、MINIのみんなは僕たちにとって大切なパートナーです。いつも僕たちを照らしてくれてありがとう」と気持ちを真っ直ぐに伝えたメンバーたち。前半のラストを飾る「STRIDE」の歌詞の節々にもINIとMINIの強い絆を感じる。